
中国は9月3日に開催する「抗日戦争および世界反ファシスト戦争勝利80周年(戦勝節80周年)」軍事パレードで、最新鋭のミサイルやステルス戦闘機などを多数披露する見込みだ。今回公開される兵器はすべて中国が独自開発したもので、特に初公開となる新型が多いと報じられている。
DF-26Dミサイル、インド太平洋地域の米軍作戦に最大の脅威
中国中央テレビ(CCTV)は8月31日、専門家解説番組で今回の軍事パレードにおいて、日本はもとより西太平洋の米領グアムや米本土まで射程に収める「東風(DF)」系ミサイルが多数披露されると予想した。まず、2019年に初公開された中・短距離極超音速ミサイル「DF-17」の改良型が登場する見込みだ。音速の5倍(時速6,125km)で移動するDF-17は、飛行軌道を自在に変更でき、敵の防空網を容易に突破できる。中国の国防専門家であるウェイ・ドンシューさんは、CCTVで「DF-17の改良型は、射程延長に加え弾頭構造が大型化し、貫通能力が向上したはずだ」と予測した。
新型の中距離弾道ミサイル(IRBM)の「DF-26」の改良型である「DF-26D」も、今回の式典で初披露されるとみられる。最長射程距離が約5,000kmに達するDF-26Dは、グアムをはじめ在日米軍基地やフィリピン海まで攻撃可能だ。そのため、インド太平洋地域で活動する米海軍にとって最大の脅威とされている。米外交安全保障専門誌の「ナショナル・インタレスト」は「DF-26Dの存在により、台湾有事の際、米空母は台湾海峡から1,000km離れた位置に留まらざるを得ず、空中支援能力が制限される」と懸念した。
さらに、軍事パレードでは大陸間弾道ミサイル(ICBM)の「DF-41」も姿を見せると予想される。2019年に初披露されたDF-41は、最長射程距離が1万4,000kmに達し、アメリカの首都ワシントンを含む地球上のほぼ全ての標的を攻撃可能なミサイルだ。攻撃目標の誤差範囲はわずか100mと極めて精密で、最大10個の核弾頭を搭載できるほど破壊力が高い。
世界初の複座式第5世代ステルス戦闘機が公開予定
今回の軍事パレードでは、中国の新型戦闘機も多数披露される見通しだ。中でも、世界初の2人乗り(複座式)第5世代ステルス戦闘機「殲(J)-20S」の登場に注目が集まっている。操縦士1人乗り(単座式)から2人乗り(複座式)に変更されたことで、ジェン-20Sは「もう一つの頭脳」を得たと評価されている。外部および機体内部のセンサーからの情報をより効果的に処理し、迅速な判断と決定が可能になる。ウェイ・ドンシューさんは「J-20Sが実戦配備されれば、無人機(ドローン)との協同作戦もより効果的に行えるだろう」と述べ、「今回の軍事パレードでのJ-20S公開は国民の大きな期待を集めている」と語った。
このほか、米空母を遠距離から攻撃可能な空中発射型の極超音速ミサイル「鷹撃(YJ)-21」も披露されるとみられる。爆撃機などの航空プラットフォームに搭載可能で、攻撃距離が延び、様々な作戦に活用できる。また、敵のドローンを無力化する車両搭載型レーザー砲や大型マイクロ波兵器も今回の軍事パレードで公開される可能性がある。

中国、射程7,000kmのミサイル性能向上に取り組む
一方、台湾を標的とした武力誇示を続ける中国が2030年までに核弾頭を1,000発以上保有するとの台湾国防部の報告書が公開された。9月1日付の中国時報など台湾メディアによると、台湾国防部は8月29日、立法院(国会)にこの内容を含む「2025年度中国軍事力報告書」を提出した。
報告書によると、中国は射程300kmの「DF-11」をはじめ、射程600~900kmの「DF-15」、射程1,700kmの「DF-21」など旧型の短・中距離ミサイルを退役させ、DF-17やDF-26などの新型ミサイルへの置き換えを進めているという。また、射程7,000kmに及ぶDF-31弾道ミサイル改良型の精密攻撃能力向上に向けた研究も進行中だと付け加えた。
コメント0