中国訪問の金正恩氏、多国間外交に「初の一歩」
王毅外交部長ら主要幹部が出迎え
北朝鮮、列車出発を異例の公表
中・露・北の首脳会談、2者・3者実現に注目

北朝鮮の金正恩国務委員長が2日、「中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年記念式典」に出席するため、北京に到着した。金委員長の訪中は通算5回目で、2019年1月以来6年8カ月ぶりとなる。
金委員長は専用列車「太陽号」に乗り、同日午後4時に北京駅に到着した。前日午後に平壌を出発した列車は、同日午前1時前に中朝国境を越えたとされる。北朝鮮労働党機関紙『労働新聞』が出発直後に訪中を公表したのは極めて異例だ。これまでの訪中は2018年に3回、2019年に1回で、いずれも電撃訪問だった。
北京駅では、党中央書記処書記(政治局常務委員、党序列5位)である蔡奇(ツァイ・チー)氏、党中央外事弁公室主任兼外交部長の王毅(ワン・イー)氏、北京市党委員会書記の殷勇(イン・ユウ)氏など主要幹部が出迎えた。金委員長は「6年ぶりに再び中華人民共和国を訪れることができ、喜ばしく思う」と述べ、習近平国家主席をはじめ党と政府、人民の厚遇に謝意を示した。
今回の訪中により、金委員長は初めて多国間外交の舞台に姿を現す。現時点で明らかになっている日程は、3日に天安門広場で開催される抗日戦争勝利記念日式典への出席である。金委員長は習主席、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とともに天安門城楼に並び立つ見通しだ。
また、滞在中に習主席だけでなくプーチン大統領とも会談するかどうか注目される。ロシア大統領府(クレムリン)は「日程を考慮し、北朝鮮代表団と直接協議することも考えられる」とし、両首脳が軍事パレードや宴会に共に出席すると明らかにした。さらに、中国、ロシア、北朝鮮の3首脳による初の3者会談が行われるかが焦点となっている。実現すれば、冷戦終結後初の中露北会談となり、日米韓との対立構図が鮮明になる。習主席は同日午前、プーチン大統領と会談し「公正なグローバル・ガバナンスの構築」で協力する方針を示している。
なお、今年の軍事パレードは2019年以来6年ぶりの開催となる。計45部隊が参加し、70分間にわたり天安門広場を行進する予定だ。中国はAIを活用した先端兵器などを披露し、反西側連帯の中心的存在としての影響力を誇示するとみられる。
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