
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は3日(現地時間)、ウクライナとの直接協議の継続に期待を示す一方、ロシアの領土編入を反映した「新たな領土の現実」を認める必要があると述べた。ウクライナとロシアの早期首脳会談の実現は難しいとの見方も出ている。ロシア外務省のウェブサイトに掲載されたインドネシア紙「コンパス」とのインタビュー全文によれば、ラブロフ外相は両国代表団が直接接触していると述べ、「協議の継続を期待している」と語ったという。
ウクライナとの紛争解決に向けたロシアの取り組みについて尋ねられた際、ラブロフ外相は「今年春、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の提案により、両国間の直接協議が再開された」と明かした。さらに、「イスタンブールで3回の会談が行われ、戦争捕虜や拘留者の交換、戦死者遺体の返還など人道的分野で一定の進展があった」とし、「さらに両側が紛争終結の前提条件に関する各自の立場を示した」と述べた。その上で、「ウクライナ危機を平和的に解決することがロシアの最優先課題だ」と主張した。
ただし、「平和を持続可能にするためには、住民投票後にロシアに編入された地域などの新たな領土の現実が国際法上で認められ、制度化される必要がある」と強調した。ロシアは2022年2月にウクライナに対する特別軍事作戦を開始し、ドネツク、ルハーンシク、ザポリージャ、ヘルソンなどウクライナ東・南部の4地域を占領、同年9月にはこれらの地域でロシアへの編入を目的とした住民投票を実施した。ロシアは住民投票で圧倒的な支持を得たとして4地域の併合を発表したが、ウクライナと西側諸国はこれを認めていない。
現在、ロシアはこれらの地域と2014年に併合したクリミア半島などを含め、ウクライナ領土の約5分の1を占拠している。また、ラブロフ外相は「ロシアとウクライナに対する新たな安全保障体制が、ユーラシアの平等かつ不可分な安全保障を実現するための大陸横断的構造の核心的要素として形成されるべきだ」と述べた。さらに、ウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟に反対するロシアの立場を間接的に示し、「ウクライナの中立、非同盟、非核の地位が保証されるべきだ」と主張した。
プーチン大統領も2日、中国・北京でスロバキアのロベルト・フィツォ首相との会談において、ウクライナのNATO加盟は容認できないと述べた。クレムリン(ロシア大統領府)は、プーチン大統領が原則としてウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会う用意があるとしながらも、徹底した事前準備が必要だと強調し、早期会談の可能性を否定している。一方、ウクライナとNATOは、ロシアがウクライナのNATO加盟の是非を決定する権限はないと主張している。
なお、ラブロフ外相は、インドが米国の要求に妥協せずロシア産石油やガスなどの資源購入を継続している点を高く評価した。彼は「米国のドナルド・トランプ大統領がロシアとの取引国に高率の関税を課すと脅迫以上の措置を取ったのは周知の事実だ」とし、「インドが圧力に屈せず自由貿易の原則を守り抜いた点を高く評価する」と述べた。
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