長年にわたり業績不振に苦しんできた米食品大手クラフト・ハインツが、2つの上場法人に分割される。2つの食品会社の合併で誕生した巨大企業が、10年前の姿に戻ることになる。

クラフト・ハインツは現地時間2日、オスカー・マイヤー、クラフトシングルズ、ランチャブルなどの成長が鈍化している北米食品部門を別法人として分社化する計画を発表した。もう一方の分社法人には、ハインツ・トマトケチャップ、フィラデルフィア・クリームチーズ、クラフトマカロニ&チーズなど、同社の人気ブランドが含まれる。この分割は来年下半期に完了する見込みだ。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、最高経営責任者(CEO)のカルロス・エイブラムス・リベラ氏は、100億ドル(約1兆4,719億6,430万円)規模の北米食品事業を率いることになる。年間売上高約150億ドル(約2兆2,079億4,645万円)を計上するもう一つの事業部門は「味の格上げ(taste elevation)」に注力する予定だ。
同社は今回の分社化について、より集中的で単純な事業構造を実現するためだと説明し、規模拡大を目指して買収合併を進めてきた食品業界の長年の戦略を覆す措置であると述べた。これまで、約200のクラフト・ハインツブランドが55のカテゴリー、150カ国に散在しており、各ブランドに十分な投資が困難だったという。
エイブラムス・リベラCEOは「この措置により、我々のブランドの影響力がさらに強化され、事業の潜在能力が最大化される」と語り、ミゲル・パトリシア会長も「各ブランドがその潜在力を発揮し、より良い成果を上げられるよう、適切な関心と資源を配分する」と述べた。
クラフト・ハインツは2015年、食品企業クラフトと「ケチャップの名門」ハインツの合併により誕生。この合併はウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが主導した。現在、バークシャーは同社株式の27.5%を保有する筆頭株主である。
合併当時、同社は年間売上280億ドル(約4兆1,215億4万円)の世界最大の食品企業として注目を集めたものの、合併直後から業績不振が続いていた。米国の消費者が徐々に健康志向を強める中、クラフト・ハインツの主力である加工食品が敬遠されたためである。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「大手食品企業の多くが消費者の購買力低下に苦しんでいる」と伝え、「物価上昇後、消費者はどの食品によりお金を使うか慎重に選んでおり、多くの消費者が高度に加工された食品を避けている」と報じた。
さらに、バフェット氏とともに合併を主導したブラジルの投資ファンド3Gキャピタルパートナーズが、経営効率化を理由に積極的なコスト削減に取り組んだ結果、クラフト・ハインツ製品の品質はかえって低下した。英フィナンシャル・タイムズ(FT)は今回の合併について「革新よりもコスト削減を優先したため、長年にわたる業績不振につながった」と評価した。
これまで同社は事業再建に向け、さまざまな努力を重ねてきた。2020年にはチーズ事業の一部を33億ドル(約4,857億4,821万9,000円)で売却し、翌年にはナッツ事業を34億ドル(約5,004億6,786万2,000円)で手放している。しかし、こうした努力にもかかわらず業績不振は続き、昨年7月に発表した第2四半期決算では、全世界の純売上高が前年同期比約2%減少したと報告された。
バフェット氏は今回の分社化について失望感を示し、CNBCとのインタビューで「過去のクラフトとハインツの合併は賢明な判断ではなかったことが明らかになった」と述べた上で、「会社を分社化することで問題が解決するとは限らない」と語った。バフェット氏の否定的な評価を受け、この日のクラフト・ハインツの株価は前日比6.97%下落し、26.02ドル(約3,830円)で取引を終えている。
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