米最高裁が関税無効なら適用率70%から16%に…米財務長官「数千億ドル規模の還付に懸念」

米国のスコット・ベッセント財務長官は7日(現地時間)、最高裁がドナルド・トランプ米大統領による輸入関税を無効と判断した場合、財務省が数千億ドル規模の関税を還付する事態になり得ると警告した。
ベッセント長官はNBCのインタビューで「関税が無効となれば全体の約半分を返還せざるを得ず、財務省にとって甚大な負担となる。裁判所がそう判断すれば、我々は従うしかない」と述べた。
最近、米連邦控訴裁判所は、国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠としたトランプ大統領の関税政策を違法とする判決を下した。トランプ政権がこれを不服として上訴しており、最終判断は最高裁に委ねられている。判決は早くても来年初めに言い渡される見通しだという。
ベッセント長官は「仮に2026年6月まで判決が遅れれば、すでに7,500億(約111兆1,627億4,000万円)~1兆ドル(約148兆2,169億8,000万円)規模の関税が徴収された後に返還することになり、大きな混乱が生じる」と指摘した。これは関税を支払った企業や団体に前例のない還付をもたらす可能性がある。
米経済メディアCNBCによれば、トランプ政権の関税は米国の輸入品の約70%に適用される予定だったが、裁判所の判断で無効となれば対象は16%に縮小する。
一方、トランプ政権は最高裁で不利な判決が出た場合に備え、代替策を検討している。国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット議長はCBS番組「フェイス・ザ・ネーション」で「関税が無効となった場合に行使できる別の法的権限がある」と述べ、1962年通商拡張法(TEA)第232条の活用や、特定産業への個別関税導入を例示した。
通商拡張法232条は「国家安全保障を脅かす輸入品」に対し、大統領が関税を課す権限を認めている。実際、トランプ政権は8月に鉄鋼・アルミニウムの関税を既存の50%から400品目以上に拡大し、半導体や医薬品にも高関税を課す方針を示唆していた。
今回の控訴裁判所の判決は、トランプ大統領が4月に導入した相互関税(reciprocal tariffs)や2月に発動された中国・カナダ・メキシコ向け関税の適法性を巡るものであり、鉄鋼や自動車に対する別根拠の関税措置には影響しないという。
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