米国は、ロシアの戦争資金源を断つことを狙いとした追加制裁案を準備している。ウクライナ戦争の終結交渉が行き詰まるなか、欧州連合(EU)と連携し、ロシア産エネルギーの輸入国にまで対象を広げる「第二次関税」措置の具体化を検討している。

ウラジーミル・プーチン露大統領は終戦交渉に消極的な姿勢を示し、中国や北朝鮮との反米連携を誇示していることが、米国による対応強化の背景にあるとみられる。
一方、ロシアは最近、ウクライナの首都キーウに大規模な空爆を実施し、政府庁舎を直撃するなど攻勢を強めている。
米財務省のスコット・ベッセント長官は8日(現地時間)、ワシントンでEU代表団と会談し、対ロシア追加制裁案について協議する。代表団はデビッド・オサリバンEU対露制裁担当特使が率いる予定で、厳格な制裁案が提示されるか注目されている。
ドナルド・トランプ米大統領は7日、ニューヨークで行われた全米オープン決勝の観戦前、記者団に対し「ロシアに対する第二段階の制裁実施の準備が整っている」と述べた。EUのウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長も、トランプ大統領、JD・ヴァンス副大統領、ベッセント長官と最近電話会談を行い、調整を進めている。
追加制裁はロシア産石油・ガスの輸出阻止にとどまらず、輸入国への関税賦課を含む可能性がある。米国は先月、ロシア産石油を輸入するインドに対し、既存の25%に加えてさらに25%を上乗せし、計50%の関税を課す第一段階の「第二次制裁」を実施している。
中国はロシア産エネルギーの最大の輸入国だが、米国が直ちに中国を対象とした第二次関税を発動するかどうかは不透明だ。外交筋によれば、米国は直接制裁に踏み切るよりも、欧州を通じて中国やインドへの圧力を強める可能性が高いという。
ベッセント長官は米『NBC』とのインタビューで「ロシアへの圧力強化の準備は整っている」と述べ、「欧州が我々と歩調を合わせることを期待している」と強調した。そのうえで「ロシア産石油の購入国に第二次関税を課せば、ロシア経済は崩壊し、プーチン大統領は交渉のテーブルにつかざるを得なくなるだろう」との見方を示した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は米『ABC』とのインタビューで「殺りくを止める方法はプーチンの武器を奪うことだ」と述べ、「エネルギーこそが彼の武器である」と強調した。さらに「ロシアとのあらゆる形態のエネルギー取引を停止すべきだ」と訴え、「トランプ大統領がそのような圧力をかけることを期待している」と語った。
コメント0