「化石燃料・原子力に比べ高価で非効率」と主張
太陽光パネルを「醜悪」、風力タービンは「癌を引き起こす」とまで発言
税額控除を停止し新規事業を「全面停止」
貿易規制も加わり産業全体に暗雲
ドナルド・トランプ米大統領は再任後、再生可能エネルギー産業に大規模な規制を課している。許認可の凍結、税制優遇の縮小、貿易規制により主要プロジェクトが次々と頓挫し、業界全体が不確実性に包まれている。

4日(現地時間)、ブルームバーグは現在の米国再生可能エネルギー産業の状況を報じ、トランプ政権が風力・太陽光企業に前例のない規制の鉄槌を下したため、業界全体が揺らいでいると伝えた。これは、前任のジョー・バイデン政権がインフレ削減法(IRA)を通じて史上最大規模の投資と税制支援を導入してからわずか3年後のことだ。
実際、トランプ大統領は1月の就任直後から再生可能エネルギー事業に様々な規制をかけてきた。連邦政府所有の土地と海域での風力・太陽光事業の許認可を全面凍結し、洋上風力発電所建設のための新規リース契約販売も無期限に中止した。さらに、連邦政府所有地で行われるすべての太陽光・風力発電事業に承認手続きを追加し、事実上新規事業の展開を不可能にした。
トランプ大統領はこれまで、再生可能エネルギーが高価で非効率だという理由で強い反感を示してきた。太陽光パネルを「中国製の黒いプラスチック」と呼び、「農地を覆う醜悪なもの」と非難。風力発電所のタービンは「鳥を殺す怪物」であり、癌を引き起こすという主張を何度も繰り返した。「化石燃料と原子力こそが安定的で安価なエネルギー源だ」とするトランプ大統領は「気候変動対策は『グリーン・ニュー・スキャム(詐欺)』に過ぎない」と主張している。
トランプ大統領のこうした見解により、当面米国内の再生可能エネルギー産業の存続自体が危うくなるとの見方が出ている。すでにトランプ大統領は大規模減税案「一つの大きく美しい法案(OBBBA)」を通じて風力・太陽光の税額控除を早期に打ち切ることを決定し、財務省も関連ガイドラインを強化して事業者の税金控除資格要件を大幅に厳格化したためだ。クリーンエネルギー市民団体E2によると、今年上半期に中止・縮小された再生可能エネルギープロジェクトの規模は約220億ドル(約3兆2,567億5,900万円)に上るという。
これに加え、貿易規制も追加的な負担となる可能性が高い。トランプ大統領は以前、鉄鋼・アルミニウムに50%の関税を課したのに続き、風力タービン部品を「国家安全保障上の脅威」品目に指定し、関税賦課のための調査を進めている。太陽光パネルの主要原料であるポリシリコンについても関連調査に着手し、今後中国・韓国など主要輸出国の製品にも高率の関税が課される可能性が指摘されている。
副作用はすでに現実のものとなっている。米国エネルギー情報局(EIA)によると、過去1年間で米国の電気料金はインフレ率の2倍以上上昇し、6月時点で過去最高を記録した。これについてトランプ大統領は「再生可能エネルギーの拡大が電力コストの上昇を煽った」と主張しているが、実際には送配電網の拡充や老朽化したインフラの更新など、設備投資の増加が主な要因とされている。
民間研究所ローディアム・グループによると、トランプ政権の風力・太陽光税制優遇縮小により、2035年までに米国の世帯当たりの年間電気料金は平均78ドル(約1万1,500円)から192ドル(約2万8,500円)まで上昇すると予測され、産業のエネルギー年間支出も70億ドル(約1兆361億1,896万円)から110億ドル(約1兆6,281億4,862万円)レベルまで膨らむと推計されている。
ただし、専門家らは連邦補助金が縮小されても市場自体は維持できるとの見方を示している。太陽光パネルや風力発電タービンなどの設備単価が低水準にあり、カリフォルニアやニューヨークなど民主党が支配する州では依然として再生可能エネルギー設備の拡充に力を入れているためだ。
米調査会社のブルームバーグNEFは「トランプ政権以降、米国内の新規風力・太陽光・蓄電装置への投資見通しは従来比で約26%下方修正された」としながらも、「風力と太陽光は化石燃料に比べ価格競争力でなお優位に立てる」と分析している。
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