ロシアのウクライナ空爆続行に米国「追加制裁に踏み切る」と再警告

ロシアによるウクライナへの攻撃が強まる中、ドナルド・トランプ米大統領の停戦仲介の試みが頓挫する可能性が高まっており、米国はロシアへの追加制裁の可能性を改めて警告した。
スコット・ベッセント米財務長官は7日、NBCのインタビューで「トランプ政権はロシアへの圧力を強化する準備が整っている」と述べ、「米国と欧州連合(EU)がロシア産石油を購入する国に対して、さらに制裁や二次的制裁を科す可能性がある」と語った。
さらに「そうなればロシア経済は完全に崩壊し、プーチン大統領は交渉の場に出ざるを得なくなる。結局、ウクライナ軍とロシア経済のどちらが長く持ちこたえるかという競争になる」と指摘した。
ベッセント長官が言及した「二次的制裁」は、当初トランプ政権が、先月初めにウラジーミル・プーチン露大統領とウォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領の間で停戦合意が成立しなければ発動すると警告していたものだが、トランプ大統領とプーチン大統領によるアラスカでの首脳会談が開かれ、立ち消えとなっていた。
今回のベッセント長官の発言は、ゼレンスキー大統領との首脳会談を避けつつウクライナへの攻撃を強めるプーチン大統領への牽制と受け止められている。ゼレンスキー大統領も同日、ABCのインタビューで「ロシアのあらゆるエネルギー取引(輸出)を止めるべきだ。トランプ大統領が圧力をかけるだろう」と述べた。
ロシア軍は6日夜から7日朝にかけ、ドローン810機と巡航・弾道ミサイル13発を動員し、ウクライナ全土に大規模な空爆を行った。首都キーウでは政府庁舎が初めて攻撃を受け、火災が発生した。ウクライナのメディアは「2022年2月の開戦以降、最大規模の空爆」と伝え、少なくとも5人が死亡、44人が負傷したと報じた。その中には妊婦や新生児も含まれていたという。
ヨーロッパ各国からは非難が相次いだ。欧州連合(EU)のウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は「クレムリンは外交を嘲笑し、国際法を踏みにじり、無差別殺戮を行っている。ウクライナ軍の強化と対ロ制裁を拡大すべきだ」と述べた。イギリスのキア・スターマー首相も「卑劣な攻撃だ。プーチン大統領は平和に真剣ではない」と批判した。
トランプ大統領も同日、全米オープンテニス決勝を観戦するためニューヨークを訪れ、「今、ウクライナで起きていることは望ましくない」と語り、ロシアへの追加制裁を示唆した。米国はすでに、ロシア産石油の最大の購入国であるインドに対し、先月27日から従来の25%の相互関税に加え、さらに25%を上乗せして合計50%の関税を課している。この措置をロシア産エネルギーを輸入する他国にも拡大適用する方針だという。
またトランプ大統領は「ウクライナ戦争の解決策を協議するため、一部の欧州諸国の首脳が近く米国を訪問する」とも明らかにした。
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