
米国の経済が再び負債の罠に陥りつつあるとの懸念が高まっている。クレジットカードや自動車ローンの延滞率は2008~2009年の金融危機水準に近づき、住宅市場にも亀裂の兆しが見られる。労働市場が弱まりつつある中、株式市場と消費は依然として好調を維持しており、危険信号が見えにくくなっているとの分析だ。
7日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ここ数年続くインフレにより家計はクレジットカードの限度額に追い込まれているという。この隙間を突いたのが「今買って、後で支払う(Buy Now, Pay Later・BNPL)」サービスだ。コンサートチケット、旅行、食料品に至るまで、BNPLの普及により消費者は無利子・分割払いで当面の支出を抑えられる。しかし、信用情報機関に報告されない特性上、過剰消費につながる可能性があると指摘されている。
米連邦準備制度理事会(FRB)の報告書によると、BNPL利用者は概して信用スコアが低く、カード債務や延滞率も高い傾向にあるという。FRBは、財政的に脆弱な消費者が過度な支出を行っていると警告している。この傾向は住宅ローン市場でも顕著である。連邦住宅局(FHA)保証の借り手の69%が「危険水準」の負債比率を記録し、2012年には28%であったのが急増している。連邦住宅抵当公庫(FNMA)や連邦住宅金融抵当公庫(FHLMC)の保証借り手も同様の状況にある。
一部の分析で、延滞率は政府が実質的に不良債務者のローンを買い取り・猶予することで隠されているとされる。実際、FHAは過去2年間で全ポートフォリオの15%に相当するローンについて、元利金の減免や猶予措置を提供した。企業や投資家のレバレッジ拡大も深刻な状況だ。株式市場好調の中、個人投資家はロビンフッドなどのプラットフォームを通じて低金利の証拠金融資を受け、株式購入に走っている。企業も関税負担、配当金支払い、自社株買いなどのために大規模な社債発行に乗り出している。
この過程で投機的格付け債券の発行は過去最高を記録し、ハイイールド債と国債の金利差はドットコム・不動産バブル期の水準まで縮小した。専門家らは、この流れが2008年の危機を想起させると口を揃える。当時のように政府とFRBが借り手や投資家を救済すれば短期的なショックは緩和されるが、そのコストは結局納税者と国民に転嫁されるだろうとWSJは警告している。
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