
欧州連合(EU)は、ウクライナ戦争での停戦に消極的なロシアに対し、銀行やエネルギー部門を狙った第19次制裁パッケージを準備していると、キーウ・インディペンデント(KI)がブルームバーグ通信の報道を引用して伝えた。
KIの報道では、EUはこの新たな制裁措置についてドナルド・トランプ米大統領と協議するため、ワシントンに代表団を派遣したという。
今月中に発表予定の制裁パッケージには、ロシアの「シャドーフリート」への規制強化や、ロシアのタンカーに対する再保険禁止が盛り込まれる見込みだ。
また、制裁は第三国で活動するロシアの石油取引業者を対象とし、ロスネフチやルクオイルなど主要石油企業も対象に含まれる予定だ。
現在検討中の追加措置には、ロシアの軍需産業向け製品や化学物質の輸出禁止、中国企業を含む海外サプライヤーへの貿易制限、さらに制裁対象の密輸船を取り扱う港へのビザ制限などが含まれている。
加えて、軍事用途の人工知能(AI)関連技術も制裁パッケージに盛り込まれる可能性がある。
KIはブルームバーグ通信を引用し、EUがロシアの武器生産に使用される特定の資材の供給を遮断するため、初めてカザフスタンへの制裁を検討していると伝えた。
EUは19日に第19次制裁パッケージの策定作業を発表したが、ポリティコはEUの制裁手段が限られてきていると指摘している。
EUはロシアの全面侵攻開始以降、ロシア産石油の大部分を輸入禁止とし、2027年末までにすべてのエネルギー購入を段階的に停止する計画だ。
欧州委員会の気候・エネルギー・交通・税務担当の報道官アンナ・カイサ・イトコネン氏はKIに対し、「輸入禁止措置を迅速に実施するほど、EUのエネルギー安全保障、独立性、そして価格安定性がさらに強化される」と述べた。
イトコネン氏はさらに、「ロシアは長年にわたりEUにとって信頼できないエネルギー供給源だった。EUがエネルギー独立を達成するには、すべての加盟国が一致団結して制裁を実施することが不可欠だ」と強調した。
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