
米トランプ政権は、連邦最高裁判所の「相互関税訴訟」で敗訴した場合、関税還付規模が最大1兆ドル(約147兆4,001億円)に達すると試算した。ベッセント長官は先週、連邦最高裁判所に提出した文書で、敗訴時の関税還付規模を7,500億ドル(約110兆5,388億円)から1兆ドルの間と見積もったと、CNBCが9日(現地時間)に報じた。
CNBCによると、この数字には各国に適用される相互関税率が発表された4月2日から先月24日までに徴収された関税収入720億ドル(約10兆6,117億円)と、来年6月までに徴収される分が含まれている可能性がある。ベッセント長官は文書で「これらの関税を撤廃すれば、深刻な混乱を招く恐れがある」と述べ、裁判の迅速な処理を要請した。連邦最高裁判所が通常の手続きで進めた場合、判決は来年夏頃に出される見込みだ。
これに先立ちベッセント長官は7日、NBCとのインタビューで「(敗訴すれば)約半分の関税を還付しなければならず、それは米財務省にとって壊滅的な打撃になる」としつつも、「勝訴を確信しているが、我々には他の選択肢も多数ある」と語っていた。トランプ政権は相互関税政策を無効とした控訴審判決に不服として、3日に連邦最高裁判所に上告した。連邦最高裁判所は同日、トランプ政権の要請に応じて本訴訟を迅速に処理すると表明し、初回口頭弁論を11月第1週に設定した。
これにより、年内に判決が出る可能性があるとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が予測している。今回の訴訟の争点は、米国のドナルド・トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に広範な関税を課すことができるかどうかだ。1977年に制定されたIEEPAは、主に敵国に対する制裁や資産凍結に活用されてきた。IEEPAを用いて関税を課したのはトランプ大統領が初めてだ。
これに先立ち控訴審裁判所は、IEEPAが大統領に輸入規制の権限を与えているものの、その権限には行政命令による関税賦課権は含まれないと判断した。連邦最高裁判所での審理が進行する間、控訴審判決の効力は停止されるため、関税は維持される。
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