
米最大手銀行「JPモルガン・チェース」のジェームズ・ダイモンCEOが、年間雇用増加数の大幅下方修正を受け、悲観的な見通しを示した。ダイモンCEOは9日(現地時間)、CNBCのインタビューで「経済は弱まっている」と述べ、これが景気後退につながるのか、単なる減速で済むのかは不明だと語った。
同日、米労働省労働統計局(BLS)は、昨年4月から今年3月までの12か月間の非農業部門の新規雇用増加数を91万1,000人下方修正した。月平均の新規雇用は7万人程度になり、従来の14万7,000人から半減した。これは2000年以降最大の下方修正で、最終数値は来年初めに発表される予定だ。
従来の発表では、同期間に雇用主が季節調整前で約180万人の新規雇用を創出したとされていたが、今回の修正により月平均の雇用増加はその半分程度であったことが判明した。下方修正は、小売・卸売業で最も大きく、次いでレジャー・ホスピタリティ業、専門・ビジネスサービス業、製造業の順で減少幅が大きかった。
今回の統計修正は今年3月以前を対象としているため、現在の雇用状況の悪化を反映したものではない。ただし、米国のドナルド・トランプ大統領の関税政策実施以前から、米国の雇用市場が従来考えられていたよりも厳しい状況にあった可能性を示唆している。
ダイモンCEOは、消費者、企業、グローバル貿易に関する様々なデータを分析できると述べ、「多くの消費者はまだ仕事を持ち、収入に見合った支出を続けているが、彼らの自信はすでに揺らぎ始めている」と懸念を表明した。
またダイモンCEOは、現在の米経済には相反する要因が多数あり、しばらくは様子を見るしかないと語った。相反する要因の典型例として、消費者の自信が後退している一方で、企業の純利益は依然として好調であることを挙げた。
さらにダイモンCEOは、米連邦準備制度理事会(FRB)が今月末の次回会合で政策金利を引き下げる可能性が高いと予想しつつも、「その措置が経済に大きな影響を与えない可能性もある」と指摘した。
ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は、BLSが公表した数字について、「史上最大規模の下方修正を発表し、これはトランプ大統領の指摘が正しかったことを証明している」と述べ、「ジョー・バイデン前政権の経済政策は破滅的で、BLSは機能不全に陥っている」と主張した。
コメント0