
米国の雇用市場の減速を示す指標が相次ぎ、今月の利下げ観測が強まる中、米金融大手ゴールドマン・サックスのデイビッド・ソロモンCEOが「利下げを急ぐ必要はない」との見解を示した。
『ブルームバーグ』が9日伝えたところによると、ソロモンCEOはある会議で、米連邦準備制度理事会(FRB)が拙速に利下げに踏み切る必要はないとの考えを示唆した。ソロモン氏は「市場のリスク選好の状況を見れば、政策金利が際立って景気抑制的とは感じられない」と述べ、市場の投資意欲は、現時点できわめて強気の水準にあると評価した。
一方で、全体的には建設的な環境が整っているとしつつも、「貿易政策は成長への逆風となっており、不確実性が投資を鈍化させている」と指摘。「わずかな建設的な力が、一定の逆風と不透明感に対抗している」と足元の景気状況を分析した。ソロモン氏の発言は、利下げを強く求めてきたドナルド・トランプ大統領の姿勢とは対照的だ。
市場では今月16〜17日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.25%ポイントの利下げが既定路線とみられている。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の「フェドウォッチ」によれば、8日時点で利下げ確率は89.4%に達している。
一方、トランプ大統領が所属する共和党の有力献金者であるヘッジファンド大手シタデルのケネス・グリフィンCEOは、7日付の米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』に寄稿し、トランプ氏によるFRB批判を激しく批判した。シカゴ大学経営大学院のアニル・カシャップ教授と連名で発表した論考では、「FRBを公然と非難し、理事の解任に言及し、中央銀行にインフレ容認姿勢を迫る大統領の戦略は、莫大なコストを伴う」と指摘した。
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