
ロシアがウクライナへの空爆を強化し、ポーランドが自国領空を侵犯したロシア製ドローン(無人機)を撃墜したことで、緊張が高まっている。2022年2月のウクライナ戦争勃発以来、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のポーランドがドローン撃墜といった軍事介入を行ったのは今回が初めてだ。
ポーランド軍は10日(現地時間)、領空を侵犯したロシア製ドローンに対し戦闘機を出撃させ撃墜したと発表した。さらに「今回の事件はロシアによる前例のないポーランド領空侵犯であり、我が国民の安全に実質的な脅威を与える侵略行為だ」と非難した。ポーランド軍はまた、全人口の4分の1に当たる870万人の住民に屋内退避命令を出した。
NATOによると、ポーランドのF-16、オランダのF-35戦闘機、イタリアの早期警戒管制機(AWACS)、そしてNATOが共同運用する空中給油機が夜間のドローン対応作戦に参加したという。NATOのパトリオット防空システムのレーダーがロシア製ドローンを探知したが、パトリオットシステム自体は直接対応に関与しなかったとされる。
ポーランドのドナルド・トゥスク首相は同日、閣僚会議後、多数のドローンがベラルーシ側からポーランドに侵入したとして「19回の領空侵犯が発生し、ドローン4機が撃墜されたとみられる」と述べた。トゥスク首相はまた、領土保全、政治的独立、または安全保障が脅かされた同盟国が緊急協議を要請できるという内容を含む「NATOの第4条」の発動を要請した。
NATOのマルク・ルッテ事務総長は北大西洋理事会(NAC)で関連議論が行われたと伝え、ロシアに対し「ウクライナでの戦争を止め、エスカレーション行為を中止せよ」と警告し、「(NATO)同盟国の領空侵犯を中止すべきだ」と訴えた。一方、ロシアの同盟国であるベラルーシは、夜間にドローンが飛行経路を逸脱した事実をポーランドとリトアニアに通報したと主張した。
ロシアがウクライナ西部を深く攻撃する過程で、ドローンが隣接するポーランドに越境したのは今回が初めてではない。東欧に位置するポーランドは、北東にロシアの同盟国ベラルーシ、南東にロシアと戦争中のウクライナと国境を接している。
NATO加盟国は、ウクライナ戦争に直接介入すれば、紛争が西側とロシアの対決に拡大する可能性があるとして、武力行使に極めて慎重な姿勢を維持してきた。米国主導のNATOは、ある加盟国が攻撃されれば全体が攻撃されたとみなして対応する「集団防衛」体制を運用している。緊張の高まりを考慮してか、ルッテ事務総長はロシア製ドローンの故意による侵犯かどうかを問われ、「包括的な評価を進めている」とだけ答えた。
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