最近、国際舞台で米国を批判していた中国が、米側高官との対話に乗り出した。米中両国は関税交渉、台湾や南シナ海の問題など山積する課題の解決に向け、再び対話を模索する姿勢を示していると見られる。

11日、中国外交部の発表によると、中国の王毅共産党政治局員兼外相は前日、米国のマルコ・ルビオ国務長官と電話会談を行ったという。王外相は「米中関係の前進には両国首脳の戦略的指導を堅持し、重要な合意を確実に履行すべきだ」と述べ、「最近の米側の否定的な言動は中国の正当な権益を侵害し、内政干渉に当たり、米中関係の改善・発展に寄与しない」と指摘した。
また王外相は、台湾など中国の核心的利益に関する問題について、米国に慎重な対応を求めた。さらに「米中は第二次世界大戦中、軍国主義とファシズムに対して共に戦った。新時代の世界平和と繁栄のため協力し、様々な地球規模の課題に対応する大国としての責任を果たすべきだ」と訴えた。
中国外交部は「今回の通話は時宜を得た、必要かつ有益なものだった。米中関係は両国の相違を適切に管理し、実務的協力を推進して安定的な発展を図るべきだ」と強調した。米国務省は、ルビオ長官が今回の通話で、両国間の様々な課題についてオープンで建設的な対話の重要性を強調したと述べた。また、主要な地域および国際問題についても議論されたという。
これに先立ち、前日には中国の董軍国防相が米国のピート・ヘグセス国防長官とビデオ会談を行った。董国防相は「オープンな姿勢と継続的な対話・交流を維持し、平等尊重、平和共存、相互尊重に基づいた安定的かつ前向きな軍事関係を構築し、双方の核心的利益を尊重すべきだ」と述べた。
また、台湾問題については「武力による独立支援や台湾を利用した対中牽制、いかなる干渉も阻止される」と強調した。中国は、周辺国との領有権紛争が続く南シナ海について、「平和と安定維持のため地域諸国と協力する」とし、「個別国家による侵害や挑発、域外国による意図的な混乱工作に断固反対する」と主張した。
董国防相は「我々は正当な権益の確固たる防衛に注力し続ける。中国への牽制、脅威、干渉は決して効果を上げない」と述べた。中国国防部は、両国が共通の関心事についても意見交換を行ったと伝えたが、具体的な内容は明かさなかった。ヘグセス長官の発言については触れられていない。
中国は最近、国内で開催された上海協力機構(SCO)首脳会議、戦勝記念日80周年式典、BRICSのビデオ会議など一連の国際行事を通じて、反西側の立場を強調している。特に戦勝記念日の軍事パレードでは、中国の習近平国家主席が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記とロシアのウラジーミル・プーチン大統領を両側に配し、中朝ロの連帯を誇示した。

一連の行事が一段落した後、中国側の外交・安全保障高官が米国との接触を図り、対話再開の意向を示したとみられる。米中両国は11月に迫る関税猶予期限を前に、早急に再交渉に入る必要がある。関税問題に加え、中国の市場開放、フェンタニル、輸出規制などの課題も山積している。一方で、台湾や南シナ海など微妙な地政学的問題も再び取り上げ、中国の立場を強調する姿勢も見られる。
米中高官の対話再開により、両国首脳会談への期待も高まっている。10月末に韓国で開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を機に、両国首脳が会談する可能性が高く、その際の議題設定には高官間の接触が不可欠である。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は外交筋の話として、「両国はここ数週間、前提条件なしに会談の場を設けるため接触を続けている」と報じ、「習主席と米国のドナルド・トランプ大統領の会談が実現すれば、関税やビザ制限を巡る緊張が続く中、高官レベルの関与がさらに強化されるべきだ」と指摘した。
コメント0