
米国のドナルド・トランプ大統領側が、自身とジェフリー・エプスタインとの間で交わされたとされる「不適切な手紙」に関する報道を行った米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』に対し、最大100億ドル(約1兆4,700億円)規模の訴訟を起こすと警告した。エプスタインとの密接な関係をめぐる疑惑が相次ぐ中、再び巨額訴訟で反撃を図ろうとしているのではないかとの批判も出ている。
『NYT』は10日(現地時間)、トランプ氏の個人弁護士から前日、問題の記事を撤回し謝罪するよう求められたと報じた。弁護士は訴訟の可能性にも言及したとされる。問題の記事は8日に掲載されたもので、『NYT』は2003年に開かれたエプスタインの50歳の誕生日を祝う手紙に書かれた署名が、トランプ氏の筆跡と酷似していると伝えた。手紙には女性の裸を想起させる絵が添えられ、「ジェフリー」と「ドナルド」が会話する文が記されており、その下に「Donald」と署名があったという。
トランプ大統領とホワイトハウスは「捏造されたものだ」と全面否定したが、『NYT』は過去にトランプ氏が送った書簡と比較した写真を公開し、筆跡が一致していると反論した。特に個人的な手紙で「Donald」と署名する際、最後の文字「d」を長く伸ばす癖が繰り返し確認されたと分析している。
訴訟の脅しにもかかわらず、『NYT』は屈しない姿勢を示した。同紙の報道官は「事実報道と視覚的証拠、大統領側の反論をすべて公開し、国民が直接判断できるようにした」と強調。「言論の自由を保障する憲法修正第1条の権利を守り、引き続き取材を続ける」とした。
この「不適切な手紙」疑惑は、7月に『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』が最初に報じ、その後米主要メディアに拡大した。当時もトランプ氏は『WSJ』を相手取り、100億ドル(約1兆4,700億円)規模の名誉毀損訴訟を起こしている。また、昨年には『CBS』を相手取った訴訟で1,600万ドル(約24億円)の和解金を獲得している。
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