中国、第3の空母就役間近…「福建」、南シナ海で試験航行
9回目の海上試験…「正式就役に向けた最終準備か」
防衛省「東シナ海で福建の航行を初確認」

中国海軍の最新鋭空母「福建」が台湾海峡を通過し、南シナ海周辺で訓練を実施していたことが分かった。海上自衛隊が「福建」を初めて確認した。
中国海軍のレン・グオウェイ報道官は12日、「3番目の空母『福建』が最近、台湾海峡を通過し、南シナ海の関連海域で科学研究や訓練任務を実施した」と表明した。
その上で、「今回の地域間試験航行は空母建造過程における通常の計画であり、特定の目標を狙ったものではない」と説明した。
これに先立ち上海海事局は、「9月10日に長江河口の大型船用水路出口で航行制限を行う」と通知しており、福建が9回目の海上試験を行う可能性が指摘されていた。
中国の軍事専門家・リー・ヤーチアン氏は中華圏メディア『聯合早報』に対し、「福建は中国が独自に設計・建造した初のカタパルト方式空母であり、これまで8回の海上試験を経てきた。あと1〜2回の試験を行うのは合理的だ。もし5月以来の試験後に再び出航するなら、システムや装備の大幅な調整が行われたか、正式就役に向けた最終準備作業に入ったことを意味する」と指摘した。
このため、福建の就役が近いとの見方も出ている。従来の空母「遼寧」は初の海上試験から就役まで13カ月、「山東」は19カ月を要し、それぞれ10回と9回の試験を実施した。福建については、中国の国慶節(10月1日)前に就役する可能性も取り沙汰されている。
正式就役すれば中国は「空母3隻体制」に入り、地域の軍事的緊張が高まる懸念もある。ただし就役後、実戦で十分な運用効果を発揮するにはなお2〜3年かかるとの見方が強い。
防衛省、東シナ海で「福建」を初確認
防衛省は前日午後1時頃、海上自衛隊のP3C哨戒機が東シナ海上で航行中の「福建」を確認したと発表した。
確認地点は沖縄県・尖閣諸島の魚釣島から約200km離れた海域で、福建はミサイル駆逐艦2隻を伴い、台湾海峡に向けて南西方向に移動していたという。
福建は中国海軍が建造した最新鋭空母で、満載排水量は約8万トン、全長は315mに及び「世界最大の通常動力艦」とも呼ばれる。
2022年に進水し、昨年から試験航海を開始した福建には艦載機を加速して発艦させる「電子式カタパルト」が初めて搭載された。そのため、従来の中国空母「遼寧」や「山東」とは異なり、飛行甲板の先端部が米空母と同様に平坦な形状となっている。
一方、政府によると、6月には遼寧と山東が日本周辺で米空母を迎撃する想定訓練を行っていたという。防衛省は、中国が空母運用能力の向上を図っていると分析し、今後も警戒監視と情報収集を強化する構えだ。
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