
12日(現地時間)、米国の北朝鮮専門メディア「NK News」は、北朝鮮の朝鮮中央テレビが先月30日の放送で、ロシア・クルスクに派兵された北朝鮮兵士多数の犠牲について、その原因はロシア側の過失にあると強調したと報じた。NK Newsは、多数の犠牲者発生を認める一方、これが内部批判が指導部に向かうのを防ぐ試みであると指摘している。
朝鮮中央テレビが同日放送したクルスクへの派兵関連映像には、派兵指揮官が北朝鮮の金正恩国務委員長に送った報告書が多数登場している。映像に映し出された軍の報告書には、ロシア軍との協力初期に直面した問題が詳細に記されている。
昨年12月22日付の報告書では、北朝鮮の指揮官が12月14日~21日の初期作戦において「攻撃作戦でロシア軍部隊が十分な成果を上げられず、その結果、特殊作戦部隊が側面を確保できなかった」と記録している。さらに、作戦の失敗により特殊作戦部隊が「敵の集中的な反撃」を受け「大きな損失」を被り、進軍速度が上がらなかったと説明している。
指揮官らは、12月14日に開始された北朝鮮・ロシア合同攻勢について、北朝鮮軍第62旅団が12月18日までに30平方キロを確保し、第93旅団が12月21日までに20平方キロ進軍したと報告した。報告書の上部に金委員長の署名があることから、彼が直接確認したことが分かる。
ロシア専門家である東西大のクリス・マンデー教授は、この文書の公開を「ロシア側に責任転嫁を図る試みであり、北朝鮮とロシアの参謀間の対立を示すもの」と評価している。彼はさらに、「朝鮮中央テレビに映る書簡は、北朝鮮指導部内でもロシアに対する不満が存在することを示唆しているのかもしれない。北朝鮮の宣伝に偶然はない」と付け加えた。
一方、同日報道された10月22日付の報告書には、金委員長が直接記したメモが多数含まれていた。金委員長は指揮官に対し、秘密を保ちながら「奇襲的に攻撃作戦を開始し、敵を驚かせるように」と指示し、この要求をロシア側にも伝えるべきだと強調した。
同時に放映された映像には、金委員長が新年祝賀行事中に涙を流す場面も映し出され、解説者はそれを秘密裏に派兵された北朝鮮軍の犠牲者発生によるものと説明している。朝鮮中央テレビはまた、北朝鮮軍がウクライナ兵を捕虜にしたとみられる写真を放映し、戦果を強調した。
北朝鮮のウクライナ戦争に関する宣伝は、兵士の国家への献身と指導者への忠誠を強調するのみで、ロシアの戦争を支援する理由や数千人を犠牲にした代償についてはほとんど言及していない。これに関し、マンデー教授は「北朝鮮の住民はなぜ戦っているのかほとんど理解していない」としながらも、「朝鮮中央テレビの映像は、北朝鮮住民がロシアとの軍事協力を通じて経済的な利益を得ているという強い示唆を含んでいる」と分析している。
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