
ロシア軍が再び使用停止中のガス管を通じてウクライナに侵入したと、独立系メディア「キーウ・インディペンデント」(KI)が13日に報じた。
KIは、クラウドソーシング型の監視サイト「ディープステート」の情報として、ロシア軍が占領下の村からガス管に入り、ハルキウ州クピャンスクの近郊に侵入したと伝えた。
ロシア軍は前線都市クピャンスクから約8キロ離れた占領地域ライマン・ペルシの村からガス管に進入し、二つの集落を隔てるオスキル川の川底をガス管経由で通過したとされる。
その後、ロシア軍はクピャンスク外縁のラドキウカ村まで無事到達し、さらに南方の森林地帯に移動して市内へ分散したという。監視機関によれば、ロシア軍はすでに現地にドローン操縦者の拠点を設置していた。
また、ロシア兵は特製の車輪付きベンチや電動スクーターを用いてガス管内を移動していたとされ、クピャンスク郊外に至るまでに4日を要することから、途中には休息や補給のための施設が設けられていた可能性がある。
米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」も同日の報告書で「ロシア軍はガス管に進入し、電動スクーターや車輪を付けた担架を利用して約4日間かけて通過した」と伝えた。
ディープステートは、13日時点でロシア軍が依然としてクピャンスク市内に残っていると報告している。
一方、ウクライナ軍参謀本部は13日、ロシア軍がクピャンスク市に直結しない送油管の出口を制圧したと発表し、「市と周辺地域はウクライナ軍の管理下にある」と強調した。
ウクライナ軍はこの2週間、市内で破壊工作防止作戦を、市外では索敵・攻撃作戦を展開。ロシア兵288人を含む395人を戦闘で排除したと発表した。
クピャンスクはウクライナ第2の都市ハルキウから東に104キロの位置にあり、2022年9月にウクライナ軍が奪還して以降も激しい戦闘が続いている。現在も誘導爆弾、砲撃、多連装ロケット、FPVドローンなどによるロシア軍の攻撃が絶えず、電気・ガス・水道がほぼ断たれた中、先月時点で約1,800人の民間人が残っている。
ロシア軍が地下のパイプラインを利用した侵入は今回が3度目となる。昨年1月にはドネツク州の要塞都市アウディイウカ攻略時に下水道を通じて背後に回り込み、今年3月にもクルスク州スジャ付近のウクライナ陣地へ約100人がガス管を通って侵入したという。
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