イスラエル、ガザ市に地上軍を投入…「米国が事前承認」
深夜20分の空爆後、戦車で進攻
少なくとも40人死亡…住民「地獄の夜」
米「ネタニヤフの戦争」と責任転嫁
アラブ諸国が緊急首脳会議で非難声明

イスラエル軍は15日深夜(現地時間)、パレスチナ自治区ガザの中心都市ガザ市に地上軍を投入した。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が先月8日、ガザ制圧計画を発表して以降、イスラエルは空爆を続けてきたが、戦車を伴う本格的な地上侵攻は今回が初めてとなる。米国が事前に作戦を承認していたとされ、改めてイスラエルへの支持を示したとの見方が広がっている。
イスラエルの主要紙ワイネットによると、イスラエル軍は15日夜、ガザ市に対し約20分間で37回にわたる大規模空爆を実施し、その直後に戦車を含む地上部隊を進攻させたという。
ロイター通信は、攻撃はガザ市中心部のアルジャラ通りや沿岸地域に集中し、ガザ保健省は少なくとも40人が死亡したと明らかにしている。
ガザ市の住民は砲撃の様子を「炎の帯のようだった」と証言した。また「地獄のような夜だった。イスラエル軍はあらゆる種類の爆撃と兵器を使った」と話した。イスラエル紙エルサレム・ポストは「過去2年間、ガザ北部で見られなかった規模の戦闘だ」と報じている。米メディア「アクシオス」によれば、イスラエル軍高官は今後数日間でさらに多くの部隊がガザ市に投入されるとの見通しを示した。
タイムズ・オブ・イスラエルによると、ネタニヤフ首相は16日、自身の汚職事件の裁判に出廷し、「ガザ市で大規模作戦が始まった」と述べ、証言を免除するよう裁判所に求めた。イスラエル軍はガザ市にハマス戦闘員約3,000人が潜伏しているとみている。
今回のイスラエルによる地上軍投入作戦は米国の事前承認を得ていたとされる。アクシオスによれば、現地を訪れていたマルコ・ルビオ米国務長官は地上作戦に「ブレーキをかけなかった」という。米政府関係者は「これはトランプ政権の戦争ではなく、ネタニヤフの戦争だ」と述べ、責任はイスラエル側にあるとの立場を強調した。
イスラエルによる直前のカタール・ドーハ空爆をめぐっては、ドナルド・トランプ米大統領が「事前に何も知らされていなかった。全く満足していない」と不快感を示していた。しかし、結果的に米国は再びイスラエルの軍事行動を黙認したとみられている。
ルビオ長官は16日、イスラエル訪問を終えてカタールに向かう途上で「イスラエルが作戦を開始した。合意に達するまでの時間は数日、多くても数週間しか残されていない」と述べ、ハマスへの圧力を強めた。
同日、カタール・ドーハではアラブ・イスラム圏の60カ国首脳が参加する緊急首脳会議が開かれ、イスラエルによる自国への空爆を非難した。外交・経済関係の再検討を検討する方針を表明した。さらに国連調査委員会は16日、イスラエルがガザ地区で集団虐殺を行い、ネタニヤフ首相を含む閣僚がこれを意図していたとする報告書を発表した。
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