
米ABC放送は、深夜トーク・ライブ番組「ジミー・キンメル・ライブ!」の無期限制作中断を電撃的に決定した。これは、チャーリー・カーク氏の死亡事件に関し、ジミー・キンメル氏の発言が連邦通信委員会(FCC)委員長に問題視されたわずか1日後の措置である。保守派は政治風刺に不快感を示しており、批判的なコメディアンへの本格的な締め付けが始まったとの批判も出ている。
ABC放送を所有する「ネクスター・メディア・グループ」は、17日(現地時間)、公式声明にて「ABCが『ジミー・キンメル・ライブ!』の制作を当面中断する」と発表した。ネクスターのアンドリュー・アルフォード放送部門社長は、「カーク氏の死に関するキンメル氏の発言は、国の政治的議論が重要な局面にある中で侮辱的かつ無礼であり、我々の地域社会が有する多様な意見や価値観を反映していない」と付け加えた。これは、事実上、キンメル氏のカーク氏関連発言が原因であることを認めるものだ。
キンメル氏は15日の放送で、「MAGAギャングがカーク氏の殺害犯を、自分たちとは異なる人物として描こうと躍起になり、政治的利益を得るためにあらゆる手段を講じている」と発言した。政治風刺の一環であったが、保守派は即座に反発した。さらに、FCCのブランドン・カー委員長が警告を発した。カー委員長は17日、保守系ポッドキャストのインタビューにおいて、キンメル氏の発言を「米国民を欺く組織的試み」の一部と指摘し、「検討に値する対応策を講じる」と述べ、ABC放送の免許取消しなどの制裁可能性にも言及した。
これを受け、ABCはわずか1日で白旗を掲げ、「ジミー・キンメル・ライブ!」の無期限制作中断を決定した。なお、キンメル氏とABCとの契約は残り1年以上あるため、この決定は事実上の番組打ち切りとみなされる。「ジミー・キンメル・ライブ!」は、米国において最高視聴率を誇る深夜のトーク・ライブ番組であり、特に若年層からの支持が厚く、これまで再契約が有力視されていた。
これに先立ちCBS放送も、深夜番組視聴率首位を誇る「ザ・レイト・ショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア」を、来年5月の契約満了後に打ち切ると発表していた。これに対し、全米作家協会は、スティーヴン・コルベア氏が米国のドナルド・トランプ大統領を揶揄するジョークを継続的に放送してきたことが打ち切りの原因である可能性を指摘し、非難声明を出していた。
キンメル氏は、コルベア氏の番組打ち切りについても強く批判している。先月、米芸能誌『バラエティ』とのインタビューで、「米国でこのような事態が起きていることに皆がショックを受け、失望している。さらに、右派からもっと多くの人々が『これは違う!』と声を上げないことにも失望した」と述べた。加えて、「現在の政治状況とトランプ大統領についてどう思うか」との質問には、「先日のイベントでトランプ大統領がヤジられるのを見て本当に気分が良かった」と答え、「彼がヤジられるということは、米国が何かおかしいと気づき始めた証拠だ」と、反トランプの立場を隠さず示していた。
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