
米国保健福祉長官ロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は、米疾病予防管理センター(CDC)予防接種諮問委員会(ACIP)に新たに7名の委員を任命し、18日(現地時間)の会合でB型肝炎、MMRV(麻疹・おたふく風邪・風疹・水痘)、RSウイルス関連ワクチンについて審議・採決を行った。
その結果、ACIPはCDCに対し、MMRV混合ワクチンに関する新たな規制を導入するよう勧告した。具体的には、4歳以下の幼児へのMMRV接種を禁止し、代わりにMMR(麻疹・おたふく風邪・風疹)と水痘ワクチンを分けて接種する方針が採られ、採決は賛成8、反対3、棄権1で可決された。
一方、予定されていたB型肝炎ワクチンに関する規制決定は延期され、新生児への接種を生後1か月に遅らせる案などは19日に再び協議される見通しとなった。これまでACIPの勧告はCDC長官がほぼそのまま受け入れるのが慣例であり、医師やワクチンプログラム関係者にとって重視されてきた。
ケネディ長官は6月に既存の17名の委員全員を解任し、自ら任命した委員に差し替えており、今回の7名追加により委員会は事実上全面再編された。免疫学、救急医学、小児神経学、疫学、薬学、産婦人科、小児心臓病学など多様な分野の専門家が新たに加わったが、長官自身が長年ワクチン安全性に批判的だった経緯から、医療界には反発も広がっている。
実際、CDCではスーザン・モナレズ長官の解任後、抗議として幹部3名が相次ぎ辞任するなど、リーダーシップの空白が生じている。18日の会合でも「母親がB型肝炎陽性の場合にのみ新生児接種を行うべきではないか」という議論が起き、当面の変更は見送られた。
マーティン・クルドルフ委員長は「ACIP委員はワクチン接種に伴う不要なリスクや害を排除できることを国民に再認識させ、信頼回復に努める必要がある」と述べ、「科学的な批判は歓迎する。科学的知識にはまだグレーゾーンが多く残っている」と強調した。
最近、複数の州では独自に予防接種を継続し、個人が処方箋なしで薬局から新型コロナワクチンを購入・接種できるようにする動きも出ている。ウィスコンシン州など12州がこうした方針を採用し、同州のトニー・エバーズ知事は州保健局に全米医師会の既存指針に従うよう行政命令を出した。
トランプ前大統領およびケネディ長官のワクチンに対する姿勢を背景に、米国では再び現場で接種を巡る賛否論争が高まっている。
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