
欧州中央銀行(ECB)の前総裁で前イタリア首相のマリオ・ドラギ氏は、欧州連合(EU)が急速に変化する時代に対して安易に対応し、グローバル競争力を失いつつあると警鐘を鳴らした。
16日(現地時間)付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、ドラギ氏が同日の演説で「現在の欧州は1年前よりもさらに厳しい状況にある」と懸念を表明したと伝えた。
ドラギ氏は「我々の成長モデルは色あせつつある。脆弱性が増している」と述べ、「無策が競争力だけでなく、主権そのものを脅かすという事実を痛感し、改めて認識した」と語った。
さらに「このような遅々とした進展について言い訳が頻繁に聞かれる。EUが元々そういう構造だからだと言うが、時には惰性が法の支配への尊重として美化されることもある。これは安易な態度だ」と厳しく指摘した。
続けて「EUは他地域の変化の速度についていけていない」とし、「行動の準備は整っているが、政府が現在の状況の深刻さを正しく認識していない」と痛烈に批判した。 欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、EUが競争力の課題に取り組む上で切迫感が不足していることを認めた。
その上で「緊急の課題に対応するために即座の行動が必要だ」とし、「我々の企業と労働者をこれ以上待たせるわけにはいかない」と強調した。 EUの企業合併規則改正案に言及し、テレサ・リベラ競争担当上級副委員長にプロセスを加速するよう促した。
ドラギ氏は昨年、欧州委員会にEU競争力報告書を提出し、計383件の勧告はEU経済改革の枠組みとして採用された。しかし、政治的対立や意見の相違に阻まれ、実行に移されたのはごく一部にとどまった。
シンクタンクの欧州政策革新委員会(EPIC)によれば、直近1年間に実行された勧告はわずか11.2%に過ぎない。同期間、欧州経済は停滞状態が続いた。今年第2四半期のユーロ圏成長率は0.1%にとどまった。
2011年のユーロ圏危機の際にECB総裁を務めたドラギ氏は、超低金利と量的緩和政策によりユーロ圏の崩壊を防ぎ、金融市場を安定させた。ユーロ圏を救ったという評価から「スーパーマリオ」という愛称で呼ばれるようになった。
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