
ドナルド・トランプ米大統領が日刊紙「ニューヨーク・タイムズ(NYT)」を相手に起こした巨額の名誉毀損訴訟について、裁判官が「冗長で政治的主張が過剰だ」として訴状の再提出を命じた。
ワシントン・ポスト紙(19日付)によると、フロリダ州タンパの連邦地裁スティーブン・D・メリデイ判事は、トランプ側が提出した85ページに及ぶ訴状を「明らかに不適切で容認できない」と批判し、40ページ以内に圧縮したうえで4週間以内に再提出するよう求めた。併せて、訴状の文言や表現についても苦言を呈した。
メリデイ判事は「訴状を読む者は、提示された主張を理解するのに苦労するだろう」と指摘し、その例として「絶望的に毀損され汚された灰色の貴婦人(NYTの通称)のジャーナリズム的新低点」や「真実を映す鏡ではなく、党派的な槍として名誉を毀損しようとする切実な欲求」といった表現を挙げた。
さらに判事は、訴状は「非難や罵倒の場でも、政治集会の演壇や広報用メガホン、ハイドパークのスピーカーズ・コーナーのようなものでもない」と強調した。スピーカーズ・コーナーとは、英ロンドン・ハイドパークにある自由発言のための演壇を指す。
NYTは「訴状が法的文書というより政治的文書であるとの裁判官の迅速な判断を歓迎する」とコメントしている。
トランプ大統領は先に、NYTが本人や家族に対して悪意ある虚偽報道を繰り返したとして、150億ドル(約2兆2,200億円)規模の名誉毀損訴訟を起こしていた。
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