相次ぐロシアの挑発にNATOが監視強化 独・英戦闘機を緊急発進
ロシア、エストニア領空を侵犯
わずか2日後に偵察機をバルト海へ派遣
トランプ大統領「関係国の防衛を支援する」

ロシアのドローンや軍用機がポーランドに続きルーマニアやエストニアの領空を相次いで侵犯し、北大西洋条約機構(NATO)が東部戦線での警戒監視を強化している。21日(現地時間)、ドイツ空軍はユーロファイター戦闘機(タイフーン)2機を緊急発進させ、バルト海上空で確認されたロシアの偵察機を追跡。英国空軍もポーランド上空で哨戒任務に就いた。いずれも個別の国ではなく、NATOの枠組みで行われた措置である。
『ロイター通信』によると、ドイツ空軍は声明で「ユーロファイター2機からなる即応部隊が、飛行計画や無線交信を行わない未確認機の調査を命じられた」と説明した。確認の結果、対象機はロシアの偵察機イリューシンIL-20Mで、位置信号を切ったまま交信要求を無視して飛行していたという。
今回の挑発は、ロシアのMiG-31戦闘機3機がエストニア領空に無断侵入してからわずか2日後に起きた。当時、戦闘機はエストニア上空に約12分間滞在し、イタリア空軍のF35戦闘機が緊急発進した後に退去した。ロシア軍用機の侵犯は、エストニアがNATOに加盟する直前の2003年以来初めてである。エストニアはこれをロシアの意図的挑発と断じ、NATO加盟国が緊急協議を要請できる第4条を発動した。関連協議は23日に行われる予定だ。
英国空軍も警戒監視強化の任務に投入された。英国防省は声明で「タイフーン戦闘機2機が19日夕、リンカンシャー空軍基地から離陸し、空中給油機の支援を受けてポーランド領空を哨戒した後、20日午前に帰還した」と発表した。この哨戒はロシアのドローンがポーランド領空を侵犯したことを受け、NATOが発動した東部戦線監視作戦「イースタン・セントリー」の一環だ。作戦には独英のほか、デンマークがF16戦闘機2機と防空駆逐艦1隻を、フランスがラファール戦闘機3機を提供した。
トランプ大統領「関係国の防衛を支援する」
ロシア軍用機による挑発でウクライナ東部戦線の緊張が高まる中、ドナルド・トランプ米大統領もNATO加盟国の防衛を支援する考えを示した。トランプ氏は同日、銃撃で死亡した米右派活動家チャーリー・カーク氏の葬儀に向かう途上、記者団から「ロシアの攻勢が続けばポーランドやバルト海沿岸諸国の防衛を支援するか」と問われ、「そうだ。そのつもりだ」と答えた。
さらに「ロシア戦闘機のエストニア領空侵犯について報告を受けたか」との質問に対しても「そうだ」と応じ、「我々はそれを好ましく思わない」と述べた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領への不満を間接的に示したものとみられる。
トランプ大統領は18日の英国国賓訪問時の記者会見でも「プーチン大統領とは関係があるからウクライナ問題は容易に解決できると思っていたが、彼には本当に失望させられた」と述べ、プーチン大統領への不満をあからさまに表明していた。
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