「独立機関FTC委員の解任」米最高裁がトランプ氏を支持
従来判例に基づく効力停止措置を「緊急事件処理」で無効化
12月に本案弁論期日…1935年判例の公式破棄へ進む見通し

米国の連邦最高裁は22日(現地時間)、ドナルド・トランプ前大統領が法で定められた理由なしに連邦取引委員会(FTC)の委員を解任した措置について、これを有効と認める緊急命令を下した。
今回の暫定決定は従来の最高裁判例に反するものだが、保守派判事が多数を占める同裁判所は今後本格的な審理を経て、既存の判例を正式に覆す可能性が高いとみられている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)によれば、最高裁はこの日、リベッカ・ケリー・スローター委員の解任効力を復活させ、12月に本案の弁論を行うことを決定した。
FTCをはじめとする米連邦政府の「独立機関」の委員や長官は、法律上「職務の非効率、義務の怠慢、または職務上の違法行為」(inefficiency, neglect of duty, and malfeasance in office=通称INM)に該当する場合に限り解任できると定められている。これ以外の理由で任期途中に解任することは不可能とされてきた。
1935年の最高裁判例「ハンフリー遺言執行人対合衆国」事件は、この規定に基づき、立法・司法機能を一部担う独立機関に対して大統領の解任権や行政権限を制限する原則を確立した。当時の事案も、大統領がFTC委員を法律で定められた事由なしに解任したことが争点となっていた。
FTC委員会は委員長を含め定員5人で構成され、通常は大統領と同じ政党所属の委員が委員長1人と平委員2人の計3人、野党側から2人が任命される。
スローター委員の任期は2029年まで残されていたが、トランプ氏は今年3月、スローター委員とアルバロ・ベドヤ委員の民主党側2人をいずれも法定事由なしに解任した。
両氏は「違法解任だ」として職務復帰を求める訴訟を提起したものの、ベドヤ氏は長期の訴訟を収入なしで続けるのは困難として、6月に辞任を表明し訴訟を取り下げている。
スローター委員の解任措置は、既存の最高裁判例に基づき連邦地裁と連邦控訴裁判所によって効力が停止されていた。しかし9月初め、ジョン・ロバーツ連邦最高裁長官が暫定決定で効力を復活させ、最高裁は「緊急事件処理」(emergency docket)を通じて下級審の判断を検討してきた。
今回の判断では、保守派判事6人を除いたリベラル派判事3人が多数意見に反対票を投じた。
反対意見を執筆したエレナ・ケーガン判事は、最高裁多数派が「すべての独立機関に対する完全な統制権を大統領に与えた」と厳しく批判した。
彼女は「大統領はいまや理由があってもなくても、誰でも解任できることになり、その結果、独立機関の超党派性や独立性が失われる」と警鐘を鳴らした。そのうえで「多数派はそう言うが、議会はそうではない」と強調した。
ケーガン判事はまた、1935年の最高裁判例においても今回と同様、FTC委員の解任は大統領権限だと主張されたが認められなかったと指摘した。そして、多数派が判例を覆そうと「熱望」しているのかもしれないが、現時点では既存の判例が効力を持っている以上、それに反する決定を下すために「緊急事件処理」を用いるべきではないと批判した。
さらにケーガン判事は、最高裁の緊急事件処理が議会から大統領への権限移譲や、国家の権力分立の再編に利用されてはならないにもかかわらず、今回はそのように使われたと非難した。
ソニア・ソトマイヨール判事とケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事も、ケーガン判事の反対意見に加わった。
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