
米国の関税収入が急増している。8月末時点で総額は1,650億ドル(約24兆4,200億円)に達し、アポロ・グローバル・マネジメントのトルステン・スリック氏は、年間では3,500億ドル(約51兆8,000億円)に上ると予測している。
ブルームバーグが23日(現地時間)に報じたところによると、実際に関税を納めているのは米国内に本社を置く輸入業者だという。ロサンゼルス港湾局のジーン・セロカ局長は同社のインタビューで「輸入業者が米国税関に関税を納付しなければ、貨物コンテナは港を出られない」と説明した。
一方、トランプ大統領と側近らは、外国が関税を負担しているかのような主張を続けてきた。トランプ大統領は9月14日、記者団に「中国が多額の関税を支払っている」と語っている。
スコット・ベッセント財務長官も先週、「多くの海外輸出業者が関税と同等かそれ以上の値下げを行っており、実質的に関税を吸収している」と発言した。
しかしブルームバーグ・エコノミクスのデータは、トランプ政権の主張と異なる結果を示している。関税賦課前の商品価格を示す米国の輸入価格指数は8月までの12か月間、下落せず横ばいで推移した。
同社のクリス・G・コリンズ経済学者の分析によると、全体的な輸入物価上昇率は関税導入前の傾向をわずかに下回っている。
消費者も少なくとも一部の負担を負っている。パウエルFRB議長は先週、「過去1年間の物価上昇率は1.2%で、一見低く見えるが大きな変化だ」と指摘し、この価格圧力が2026年まで続く可能性があると警告した。パウエル氏は「多くの関税は輸出企業と消費者の間に位置する企業によって吸収されている」との見方を示している。
ホワイトハウスの首席経済学者スティーブン・マイロン氏は「ドル安が輸入物価の変動に影響を与えている」と述べ、CNBCとのインタビューでは「公式な輸入業者が実際には外国輸出業者の子会社である可能性が高い」と指摘した。
一方、セロカ局長は「輸入業者の多くは中小企業で、その一部は関税支払いのために貯蓄を取り崩している」と明かした。
こうした見解は、関税の多くが輸出企業と消費者の間に位置する企業によって吸収されているというパウエル議長の分析や、今後の価格圧力に関する警告を裏付けるものだ。ブルームバーグは最終的に、企業の雇用や投資計画に悪影響が及ぶ可能性が高いと予測している。
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