
ドナルド・トランプ米大統領は23日、国連が世界的な危機を解決するどころか、むしろ助長していると批判し、国連を痛烈に非難した。ニューヨークの国連本部で開かれた国連80周年特別総会での演説で、トランプ大統領が国連の場で演説するのは2020年以来5年ぶりであり、2期目の政権発足後初めてとなる。
◇「7カ月で7つの戦争を終結」
トランプ大統領は「米国の力の復活」をテーマに約1時間演説し、国連に辛辣な言葉を浴びせた。特に「国連は解決すべき問題を解決できないばかりか、新たな問題まで生み出している」と指摘し、「グローバリズム機関が世界秩序を大きく弱体化させた」という持論を繰り返した。さらに「国連は膨大な潜在力を持ちながら、ほとんど発揮していない。強硬な書簡を出すだけで後続措置がなく、空虚な言葉では戦争を終わらせられない」と非難した。
続けて、自身の就任後、米国の力を適切に行使することで世界に平和をもたらしていると主張し、「(就任後7か月で)終結が不可能と思われた7つの戦争を終結させた」と自賛した。アルメニア・アゼルバイジャン、タイ・カンボジア、ルワンダ・コンゴ民主共和国間の平和協定などを成果として挙げ、「本来国連がやるべきことを私がやらなければならなかったのは残念だ。いずれのケースでも国連は支援せず、交渉成立を助ける一本の電話すら寄こさなかった」と批判した。
演説の中でトランプ大統領は「誰もが私にノーベル平和賞を授与すべきだと言うが、私にとって真の賞は数百万人の命が救われ、子どもたちが親と共に成長する姿を見られることだ」と語った。ただし同氏の主張とは裏腹に、ガザ紛争やウクライナ戦争は現在も終結していない。
さらにトランプ大統領は、移民を受け入れない政策を世界各国が採用すべきだと訴え、国際社会に「何か手を打つべきだ」と呼びかけた。「私のメッセージは簡潔だ。不法に米国へ入国すれば刑務所に収容され、元の場所へ送り返される」と断言した。
◇北朝鮮には言及せず
トランプ大統領は「米国は地球上のどの国よりも強力な経済、国境、軍隊、友好、そして不屈の精神を持つ恵まれた国である」と述べ、自らの統治下で「米国が黄金時代を謳歌している」と強調した。エネルギーや食料品などの物価が下落し、「1兆ドル(約148兆円)の投資が米国に流入している」とも主張した。
気候変動については「世界中で仕組まれた最大の詐欺だ」という従来の立場を改めて示し、「国連職員が1989年に『10年以内に地球温暖化で国家が地図から消える可能性がある』と言ったが、そんなことは起こらなかった」と皮肉を込めた。
CNNは同日の演説について「7年前、彼が初の国連演説で特有の虚勢を張った際には国連代表団から嘲笑が起きたが、今や世界の指導者たちは彼の好意を得るためにますます華やかな追従を見せている」と報じた。
トランプ大統領の演説は「アメリカ・ファースト」路線の延長線上にある。実際、トランプ政権下の米国は国際機関から次々と脱退している。今年初めには国連人権理事会、ユネスコ、世界保健機関(WHO)から離脱した。会員資格を維持していても分担金を支払わず、実質的に協力していないケースも多い。
この日の演説でトランプ大統領は、北朝鮮や朝鮮半島情勢には一切触れなかった。
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