
米国のドナルド・トランプ大統領が23日(現地時間)、国際連合総会出席のため米ニューヨークの国連本部を訪れた際、突如エスカレーターが停止し、プロンプターが作動しないという予期せぬ事態が発生した。トランプ大統領は国連総会での演説において自身の経験を冗談交じりに語ったが、一部では意図的な行為だった可能性も指摘されている。
ニューヨーク・ポスト(NYP)などによると、トランプ大統領が当日、国連本部で総会演説のため移動中、メラニア・トランプ夫人と共にエスカレーターに乗った瞬間に設備が停止し、結局二人は歩いて上がることになったという。演壇に立った際も、プロンプターが作動しないトラブルが発生した。
トランプ大統領はこれについて「プロンプターが作動していない。私はプロンプターなしで演説しても構わない」と述べ、「そうすればより心からの言葉が伝えられる。ただ、プロンプターの担当者は大変な目に遭っているだろう」と語り、聴衆の笑いを誘った。1分後にプロンプターは正常に作動したが、トランプ大統領は演説中もエスカレーターとプロンプターの問題に言及し続け、不快感を露わにした。
また、トランプ大統領は過去の国連本部改修工事の入札で自身の提案が採用されなかったことにも触れ、エスカレーター停止の問題を指摘した。彼は「私は国連本部全体を5億ドル(約738億8,964万円)で再建し、大理石の床を敷くと提案した」とし、「しかし彼らは別の方向を選んだ。それははるかに高額だった。私は彼らが建設について全く知識がなく、建築理念自体が誤っていると痛感した」と述べた。
さらに「正直に申し上げると、建物を見てエスカレーターの停止を経験すると、まだ工事が終わっていないという実感すらある。それがもう数年前のことだ」と述べ、「ファーストレディが体力不足でなければ転倒していたかもしれない」と皮肉を交えた。
当日の演説でトランプ大統領は国連の役割を強く批判しながら、自身の経験を再び持ち出した。彼は「国連の目的は何か。国連は西側諸国に対する攻撃資金を提供している」とし、「国連で私が得たものは2つだけだ。故障したエスカレーターと故障したプロンプターだ」と述べた。
ただし、トランプ大統領はSNSの「トゥルース・ソーシャル」を通じ、「2つの出来事のおかげで演説がより面白くなった」と語り、「多少の機材の不具合があっても、国連で演説することはいつも光栄だ」と述べた。当日のエスカレーターとプロンプターの問題を単なる偶然とする見解もあるが、一部では大統領を狙った意図的な行為だった可能性も指摘されている。
ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は当日、SNSの「X(旧Twitter)」を通じ、21日に報じられたザ・タイムズの記事を投稿し、「トランプ大統領とファーストレディがエスカレーターに乗った際に、もし国連で誰かが意図的に停止させたのなら、直ちに解雇し、徹底的に調査すべきだ」と主張した。
ザ・タイムズの記事には、国連職員らがトランプ大統領の到着に合わせてエスカレーターやエレベーターを停止し、「予算が尽きたため歩いて上がってもらう」と冗談を言ったという内容が含まれていた。
トランプ大統領は就任後、世界保健機関(WHO)やユネスコ、国際連合人権理事会からの脱退に加え、国連分担金の納付も事実上中断している。今年の国連予算は約35億ドル(約5,171億9,334万円)であり、米国はその約22%を負担することが求められている。
米国の分担金未納により、国連の人員削減と構造改革の必要性が提起されている。ガーディアン紙は、国連が来年の予算を約32億ドル(約4,728億6,249万円)に削減し、本部職員を最低で3,000人削減する可能性があると伝えた。また、国際連合のアントニオ・グテーレス事務総長は今回の財政危機を機に、肥大化した官僚機構や重複する業務の見直しを試みると伝えられている。
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