「円高の小泉氏」か「株高の高市氏」か…自民党総裁選に市場の注目集まる

世界の金融市場で「円キャリートレード」(円を借りて高金利資産に投資する取引)の清算懸念が再び強まる中、自民党総裁選が最大の変数として注目されている。小泉進次郎農相が当選すれば財政緊縮による円高とキャリー清算リスクが浮上し、高市早苗前経済安全保障相が勝利すれば株価上昇とともに金利急騰・円安懸念が交錯するとの見方が広がっている。
日経新聞は24日、「小泉進次郎農相が当選した場合、円が1ドル=145円まで上昇する可能性があるとの観測が市場に出ている」と報じた。小泉氏は石破茂内閣の財政健全化路線を継承する構えで、輸出企業には逆風となる一方、グローバル金融市場で「円キャリー清算」への不安が再燃する恐れがあるという。
一方、5候補のうち唯一、財政拡大と金融緩和を掲げる高市前経済安保相が当選した場合は、状況が一変する見通しだ。高市氏は出馬会見で「日本列島を強く、豊かに」をスローガンに掲げ、核融合・量子コンピューター・宇宙開発への投資拡大を約束した。
市場の反応は期待と不安が入り交じる。高市氏の当選で日経平均株価が年末に4万8000円まで上昇するとの楽観論がある一方、財政悪化により30年国債利回りが3.4%台まで急騰する可能性があるとの警告も出ている。
もっとも、与党が少数派となる中では、誰が総裁に選ばれても財政拡大志向の野党に配慮した政権運営を迫られるとの見方も根強い。三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは日経に「こうした見通しが、現在の円売りの背景にある」と指摘している。
コメント0