「インフレ抑制への影響」鷹派論
トランプ政権との緊張関係続く
「株式市場は割高」発言で株価下落

米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、追加の金利引き下げに対して慎重な姿勢を示し、一部で求められていた「大幅利下げ」(0.50%ポイント以上の引き下げ)を退けた。最近0.25%ポイントの利下げを実施したFRBへの追加利下げ期待に冷や水を浴びせた格好だ。また、FRBに対する政治的批判を「卑劣な攻撃」と一蹴し、トランプ政権との緊張関係が続く見通しだ。
パウエル議長は23日、米ロードアイランド州商工会議所での講演で、「金融緩和を過度に進めればインフレ抑制に支障をきたす可能性がある」と指摘。「後にインフレ率2%の目標を達成するため、政策を利上げに転換せざるを得なくなる恐れがある」と述べた。さらに「短期的にはインフレリスクが上振れ、雇用リスクが下振れしており、厳しい局面にある」とし、「このような両面リスク(two-sided risk)が存在する時、リスクのない選択肢は存在しない」と説明した。
今年初の利下げから約1週間で、追加利下げ圧力への対応とみられる鷹派的な姿勢を示した。パウエル議長はまた「最近インフレ率が上昇し、やや高めの水準を維持している」とし、「最新のデータや調査によれば、この価格上昇は全般的な物価上昇圧力よりも関税の影響が大きいことが示されている」と強調した。
トランプ政権による「Fed批判」については、「我々は決定を下す際、政治的な考慮は一切しない」とし、「我々を政治的だと非難する者のほとんどは、単なる卑劣な攻撃(Cheap Shot)にすぎない」と反論した。これはトランプ大統領の側近であるFRB理事のスティーブン・マイラン氏が2日前の22日、ニューヨーク経済クラブで「FRBが政治的だったのは明らかだ」と発言したことを念頭に置いたものとみられる。マイラン氏はその場で2%ポイントの利下げを主張していた。
パウエル議長は米株式市場についても「かなり割高に見える」と述べ、上昇を続けていた株価に歯止めをかけた。この日のニューヨーク証券取引所(NYSE)では、ダウ工業株30種平均が前日比88.76ポイント(0.19%)安の46,292.78で取引を終えた。S&P500種指数は36.83ポイント(0.55%)下落し6,656.92、ナスダック総合指数は215.50ポイント(0.95%)下落し22,573.47で取引を終了した。
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