
アップルは欧州連合(EU)の反独占規制法であるデジタル市場法(DMA)が消費者の権益を損ない、市場の不公正を招くとして廃止を求めた。
AP通信やユーロニュースなどは、アップルは24日(現地時間)にEU委員会へ提出した意見書で「より適切な目的に沿った法律が整備されるまで、当該規定は廃止されるべきだ」と主張したと報じた。
DMAは、アップルなど7つの主要IT大手を「ゲートキーパー」として指定・規制するEU法である。EU委員会は昨年4月、DMAに基づきアップルに5億ユーロ(約871億9,060万5,000円)の罰金を科した。
アップルは意見書で、DMAが非アップル製品やアプリに対しても特定機能の動作を要求しているため、新機能の発売が遅れていると指摘。新たに開発された「リアルタイム翻訳」機能を例示した。
また、アップルはAirPodsで使用可能なリアルタイム翻訳機能を今月初めに公開したが、DMAでは他社製ワイヤレスイヤホンでも動作しなければならないため、欧州での発売が困難であると述べた。
さらに、同社はスマートフォンの画面をノートパソコンなどの大型機器に直接表示する「ミラーリング」など、欧州での発売を延期した機能が多数存在するとし、アップル製品ユーザーの情報漏洩リスクが深刻なレベルに達している現状を踏まえ、「欧州ユーザーのアップル製品利用はDMAによりさらに悪化するだろう」と警告した。
アップルは「DMAを廃止するか、少なくともより適切な法律へと置き換えるべきだ」と訴え、「(DMAがなかった)10年前に初めて発売されたアップルウォッチは、今日のEUでは発売できない可能性がある」と強調した。
さらに、アップルは特定の7社にのみ適用されるDMA規制体系が現実に即していないと主張し、例としてサムスンを挙げた。
アップルは「ブリュッセルはEU最大のスマートフォンサプライヤーであるサムスンに対して当該規定を適用せず、不公正な競争を助長している」と指摘した。
また、「既に成功を収めた企業が革新によって競争するのではなく、DMAを利用してEU市民からデータを収集したり、アップルの技術を無償で取得するなど、法体系を歪めている」と主張した。
しかし、EU委員会は全企業に対してDMAの遵守を求める立場を再確認し、アップルの主張を事実上却下した。
ユーロニュースによれば、EU委員会のトーマス・レニエ報道官は定例ブリーフィングで「委員会はDMAを廃止する意向は全くない」と述べたという。
彼は「企業はDMAのおかげで公正に競争できる」とし、「アップルは他社製品と自社のオペレーティングシステムとの相互運用性を認めなければならず、DMA遵守は選択肢ではなく義務である」と付け加えた。
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