
デンマークやノルウェーに続き、フランスの軍事基地でもロシアのものとみられる無人機(ドローン)が確認された。これを受け、北大西洋条約機構(NATO)はバルト海に防空艦を投入し、警戒を一段と強化する方針を決定した。一方、ヨーロッパ最大規模の原子力発電所であるウクライナ南部のザポリージャ原発では、5日連続で送電が途絶し、冷却機能の停止による放射能流出への懸念が高まっている。
欧州メディアのユーロニュースによると、22日、フランス北西部のムールムロン・ル・グラン基地に正体不明のドローンが飛来し、警報が発令された。同基地にはフランス陸軍501機甲連隊が駐屯しており、ウクライナ軍の訓練拠点にもなっている。この日、デンマークでもドローンが飛来してコペンハーゲン空港の運営が一時停止した。ノルウェーのエーレラン空軍基地周辺でも複数回の飛来が確認され、22日にはオスロ空港の運営が中断された。
NATOは、フランス軍基地などに出没したドローンがロシアによるものとの見方を強めており、ロイター通信によれば、バルト海に防空艦を配備して監視活動を拡大するという。NATOは今年初めから「バルティック・セントリー作戦」として、重要インフラを保護するため軍艦や哨戒機、無人機をバルト海に展開してきたが、これをさらに強化する方針だ。
一方、ザポリージャ原発では23日以降、外部からの送電が停止したままとなっている。電力が途絶すれば冷却装置が稼働せず、原子炉の過熱につながる恐れがある。ロシアの侵攻が始まった2022年2月以降、送電が途絶したのは計10回に上るが、4日以上続いたのは初めてだという。現在は非常用発電機で冷却や安全システムを稼働させているが、長期化すれば維持は困難になると懸念されている。ウクライナとロシアは互いに攻撃の責任を転嫁している。
AP通信は「原子炉の炉心や使用済み核燃料は過熱を防ぐために冷却が不可欠で、そうでなければ2011年の東日本大震災時の福島第一原発のようにメルトダウン(冷却不能で炉心が溶け落ちる事態)が起こりかねない」と警告している。
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