
ドナルド・トランプ米大統領が今週、全軍指揮官会議に出席する。会議はピート・ヘグセス国防長官が招集したもので、将官・提督・上級下士官ら約800人が参加する異例の規模となる。
米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」は28日、ホワイトハウス関係者の話として、トランプ大統領が30日にバージニア州クアンティコで開催される米軍最高司令官会議に出席すると報じた。大統領を含め、これほど多くの軍高級指揮官が一堂に会するのは数十年ぶりだという。
トランプ大統領は同日、NBCニュースのインタビューで「これは単に軍事面での成果や現状、そして多くの前向きな話題を議論する非常に良い会議だ」と述べ、「素晴らしい人々が集まる。これは戦友愛(エスプリ・ド・コール)に関するものだ。それだけだ」と語った。ロイター通信とのインタビューでも戦友愛を強調し、「将軍たちに、われわれが彼らを愛していること、彼らが尊敬される指導者であり、強く、断固とし、賢明で、かつ慈悲深い存在であるべきだと伝えるつもりだ」と明かした。
ロイターは、トランプ大統領の出席により、ヘグセス国防長官が強調しようとしていた「戦士精神(ウォリアー・エートス)」のメッセージが薄れる可能性があるとの見方を伝えている。
元国防総省高官のジム・タウンゼント氏は「この前例のない会議を開く本来の目的は、ヘグセス長官が指揮官たちに直接対面し、大幅に刷新された国家安全保障戦略を伝えることにあった」と指摘し、そのうえで「しかしトランプ大統領の出席決定により、予定は狂い、注目がトランプ大統領に集中し、ヘグセス長官は脇役に追いやられ、強いメッセージを伝える時間すら失うだろう」と述べた。
ヘグセス長官は25日、突如として准将以上の指揮官たちに会議出席を指示したが、具体的な議題は示されていない。このため、軍内部では高級将官の追加解任に踏み切るのではないかとの懸念も浮上している。
ヘグセス長官は2月、C・Q・ブラウン統合参謀本部議長を含む空軍将軍・提督5人を解任するという前例のない軍首脳部の改編を断行した。先月も国防情報局局長と2人の高級指揮官を解任した。5月には4つ星将軍の数を20%削減するよう命じ、州兵将軍を最低20%減らし、軍全体の将軍・提督も10%追加削減すると発表していた。当時ヘグセス長官は「将軍や提督が多いからといって、より大きな成功が保証されるわけではない」と強調していた。
元フォックス・ニュースのキャスターであるヘグセス長官は、トランプ大統領の国家安全保障アジェンダを実行し、自身が「差別的」と呼ぶ多様性政策を排除するため、国防省の再編を進めている。
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