
イランが核合意に違反したとして、英国・フランス・ドイツの欧州3か国(E3)が国連制裁復活手続きを発動したことを受け、対イラン国連制裁が28日、約10年ぶりに復活した。
ただし、ロシアが制裁復活の無効を強く主張しているうえ、西側諸国とイラン双方が交渉の余地を残していることから、外交的合意に至る可能性にも注目が集まっている。
国連本部によると、イラン関連の国連安保理決議(第2231号)の制裁復活手続きに基づき、9月28日0時(グリニッジ標準時=日本時間同日午前9時)に制裁が発効した。
復活した制裁には、核計画および弾道ミサイル関連の移転・活動禁止、武器取引禁止に加え、対象個人への渡航禁止や資産凍結措置などが含まれる。
イランは2015年、オバマ米政権下で国連安保理常任理事国5か国+ドイツの「主要6か国」と長期交渉を経て、包括的共同行動計画(JCPOA=イラン核合意)に署名した。国際原子力機関(IAEA)の査察・監視権限が強化される一方で、制裁解除と限定的な核技術研究・開発権を得た。
2006年以降に採択された対イラン安保理制裁7件は2016年1月に解除されたが、合意文書には「義務不履行の場合、制裁を復活できる」仕組み(スナップバック)が盛り込まれていた。合意国が違反を通知し、30日以内に安保理が別途決議を採択しなければ、自動的に国連制裁が復活する仕組みだ。
E3は、イランがウラン備蓄量を制限値の40倍以上に増やすなどJCPOAの義務を重大に違反したとして、先月28日にスナップバック手続きを発動し、イランがIAEA査察官に核施設へのアクセスを認め、高濃縮ウラン備蓄への懸念を解消することなどを、制裁解除延長の条件として提示した。
安保理が別途決議を採択しなかったため、対イラン制裁は9月28日0時(グリニッジ標準時)に自動的に復活した。
イランは「核兵器開発中」との西側の疑念を否定し、2018年に米国が核合意を一方的に破棄した経緯を踏まえ、「E3の制裁復活は根拠がなく不当だ」と反発した。ドイツ、フランス、英国に駐在するイラン大使をテヘランに召還している。
また、安保理常任理事国のロシアが国連制裁復活を「違法」と断じて国連事務局に圧力をかけており、たとえ制裁が復活しても執行が限定的になる可能性があるとの見方も出ている。
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