北朝鮮と中国、米国に向けて「一方的・覇権主義に共に対抗する」と牽制

中国・北京を訪問中のチェ・ソニ(崔善姫)北朝鮮外相と、ワン・イー(王毅)中国共産党中央政治局委員兼外交部長は28日、北京で会談し、米国を念頭に「一方主義と覇権主義に反対する」と強調した。
中国国営・新華社通信などによると、ワン部長は「中朝関係をしっかりと守り、強固にし、発展させることは中国党・政府の揺るぎない戦略的方針だ」と述べた。その上で「両国首脳が合意した重要な共同認識を着実に実行し、戦略的意思疎通を強化し、交流と協力を緊密にして地域の平和と発展を共に促進することが我々の責務だ」と語った。
チェ外相は27日に北京に到着し、30日まで滞在する予定。単独での訪中は2022年6月以来初めてで、ワン部長との単独会談も初めてとなる。チェ外相は今月1日から5日にかけて開催された中国「抗日戦争勝利80周年」記念行事に金正恩朝鮮労働党総書記を随行して訪中しており、約3週間ぶりの北京再訪となった。
ワン部長は「現在、国際情勢は混乱しており、強権やいじめ行為の弊害が深刻だ」と指摘した。さらに「北朝鮮が中国の核心的利益と重大な懸念を支持していることを高く評価する」と述べた。
また「国際・地域の諸課題において協調を深め、あらゆる形の覇権主義に反対し、両国の共通利益と国際的な公正・正義を守る用意がある」と付け加えた。
これに対しチェ外相は、今月初めに行われた金委員長と習近平中国国家主席の首脳会談について「歴史的な会談は、社会主義を基盤とする北中関係の深化に戦略的指導力と強力な推進力を与えた」と強調した。
さらに「北朝鮮と中国関係の持続的発展は揺るぎない立場だ」とし、両国首脳の合意を着実に実行しつつ、戦略的意思疎通を強化し、交流や協力を拡大して新たな段階へ発展させる意思を表明した。
またチェ外相は「中国と多国間協力を緊密にし、一方主義や強権政治を阻止し、より公正な国際秩序の構築を推進する用意がある」と述べ、米国を名指しこそしなかったが、米国を牽制するために中国との協調を強化する意図を示唆したとみられる。
チェ外相はワン部長との会談の場で、10月10日に予定される朝鮮労働党創建80周年の軍事パレードに、中国の高官派遣を要請した可能性も指摘される。一部では習主席の北朝鮮訪問が調整されているとの観測も出ている。
今回の北中外相会談では、9月4日に行われた金委員長と習主席の首脳会談のフォローアップ措置についても協議されたとみられる。当時の首脳会談で、両首脳は戦略的協力を強化する方針を確認し、特に北朝鮮側は経済協力拡大への期待を示していた。
さらに、来月末に韓国・キョンジュ(慶州)で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた米中首脳会談を前に、朝鮮半島情勢に関する意見交換が行われた可能性が指摘されている。
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