
ドナルド・トランプ米大統領が、政府の政策に従うことを約束した大学に対し研究費を優先的に支給する方針を打ち出した。入学選抜における人種的多様性の扱いをめぐってハーバード大学と訴訟を展開する中、大学への締め付けを一段と強める姿勢を示している。
28日の『ワシントン・ポスト(WP)』によれば、ホワイトハウスは大学が研究資金を受け取る仕組みを見直す計画を策定している。入学、採用、そのほかの問題に関して政権の価値観や政策を順守することを約束した大学に優先権を与える仕組みが柱だ。ホワイトハウス関係者は「新たな制度は、個別大学への前例のない調査や制裁の連鎖から脱却し、多くの大学がトランプ大統領の優先課題すべてを受け入れることを狙ったものだ」と説明している。
大学は、入学や採用に関して、人種や民族的背景などではなく実力に基づく決定がなされているか、留学生支援に際し特定要素が考慮されているか、学費が学生の受ける価値を上回っていないか、などについて確認を求められる可能性がある。
トランプ政権は、多くの大学がDEI(多様性・公平性・包括性)プログラムを導入したり、ユダヤ人学生や教職員を反ユダヤ主義から十分に保護していないとして、市民権法に違反していると主張しており、今回の方針はそれを是正する狙いがある。
こうした動きに対し、教育界からは即座に反発の声が上がった。米教育委員会(ACE)のテッド・ミッチェル会長は「機関の自律性、思想的多様性、表現の自由、学問の自由への攻撃だ」とし、「補助金を得るために科学的価値ではなく、特定の政治的見解へのイデオロギー的忠誠を証明せねばならないなど、米国では想像できない」と批判した。
トランプ大統領は再就任後、コロンビア大学、ハーバード大学、UCLAなどを対象に調査を開始し、研究資金を一時回収し、返還の条件として政権方針の順守を迫り、法廷闘争を繰り広げている。
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