米国とロシアが早ければ10月にも両国関係改善に向けた協議を再開する見通しだと、ロシア紙イズベスチヤが29日(現地時間)、情報筋を引用して報じた。ウクライナ終戦を巡りドナルド・トランプ米政権がロシアへの圧力を強めているが、これとは無関係に解決を要する懸案が積み重なっているとの認識が双方にあるという。

情報筋によれば、米国とロシアは対立要因を減らすため新たな会談を計画しており、時期は10月末から11月初めになる可能性が高いという。議題には、ビザ問題、大使館の円滑な運営、外交資産の処理、直行便再開の可否などが含まれるとみられる。
ロシア下院国際問題委員会のドミトリー・ノビコフ第1副委員長は「こうした問題は『ウクライナ紛争』とは切り離して解決すべきだ」と指摘した。
また、ロシア外務次官のセルゲイ・リャブコフ氏は今月16日、国営タス通信に対し「今秋中に関係改善に向けた協議が開催され得る」と発言した。その後、ニューヨークで開かれた第80回国連総会の場でマルコ・ルビオ米国務長官と会談し、次回協議について直接協議したと伝えられている。イズベスチヤは「こうした高官レベルの接触自体が、両国に依然として対話の意思があることを示す」と分析した。
米国とロシアは今年2月27日と4月10日、トルコ・イスタンブールで両国大使館機能の正常化を含む関係改善を協議したが、それ以降の会合は延期が続いている。
ロシアの専門家は今回の対話再開を「ジョー・バイデン前米政権が残した『有害な遺産』を整理する象徴的意味合いが強い」と分析している。即時の政治的転換というより、バイデン政権下で悪化した二国間関係を立て直す「基礎固め」の段階と位置づけている。
一方、イズベスチヤは「トランプ政権がロシアへの姿勢を日ごとに変化させている」とも報じた。トランプ大統領は今月23日、国連総会に合わせてニューヨークでウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した後、SNS「トゥルース・ソーシャル」に「ウクライナはロシアに奪われた領土を取り戻せる」との趣旨の投稿を行い、ロシアを「紙の虎」とまで呼んだ。これまでの親ロシア的な姿勢を覆す発言だった。
さらに28日、JDバンス米副大統領は米フォックス・ニュースのインタビューで、長距離精密攻撃が可能な巡航ミサイル「トマホーク」をウクライナに供与する案を検討しており、最終判断はトランプ大統領が下すと明らかにした。トマホークの射程は約2500キロに及び、米軍の作戦で精度と威力が実証されてきた兵器だ。ロシア本土への攻撃を主張してきたゼレンスキー大統領は、欧州がトマホークを購入しウクライナに提供する案を米側に提示したこともある。米国がトマホーク供与を決定すれば、ロシアが強く反発すると予想される。
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