
米政府のシャットダウン(一時的な業務停止)が現実になれば、金融市場が注視する9月の米非農業部門雇用統計の発表が見送られる可能性が高い。米労働省は26日、米政府のシャットダウンに備えた緊急計画を公表し、その中で労働統計局(BLS)があらゆる経済報告書の発行を停止することを明かしたとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などが報じた。
現状の予測通り、1日の午前0時1分(米東部時間)にシャットダウンが開始されれば、3日の朝に予定されていた労働統計局の9月雇用統計の公表は見送られる可能性が高い。金融市場は、今年5月から続く非農業部門の雇用増加ペースの鈍化が9月も持続したかどうかに注目している。この統計は、米連邦準備制度理事会(FRB)が10月の金融政策決定会合で利下げを実施するかどうかを見極める上で重要な指標の一つになっている。
FRBは、雇用増加の鈍化が4か月連続で続いたことを受け、17日に政策金利を4.0~4.25%へ0.25%ポイント引き下げた。これは昨年12月以来、9か月ぶりの利下げ再開になった。FRBが公表した「ドットプロット」によると、連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの年末の政策金利予想の中央値は3.6%であり、さらに10月と12月の会合での更なる利下げが行われるとの見方が強いという。

シャットダウンが長引けば、労働統計局が10月15日に発表を予定している消費者物価指数(CPI)報告書の公表も遅れる可能性がある。労働統計局は声明で、シャットダウンの長期化が他のデータ発表の遅延を招く可能性があると指摘し、予算が回復次第、通常業務に復帰し、報道発表のスケジュール変更を公表すると述べた。
週次の新規失業保険申請件数の発表も不透明な状況になっており、長期化すれば10月30日に予定されている第3四半期の米国内総生産(GDP)速報値の公表にも影響が及ぶ可能性があるとWSJは伝えている。

TDセキュリティーズの米金利戦略責任者のジェナディ・ゴールドバーグ氏はロイター通信に対し、「シャットダウンが長期化すれば、統計発表の遅延が連鎖的に続く恐れがある」と指摘し、「FRBがデータへの依存度を非常に高めている点を考慮すると、市場にとって厳しい状況だ」と語った。
リトルツ・ウェルス・マネジメントのチーフ・マーケット・ストラテジストであるケリー・コックス氏は「データが乏しくなるほど、FRBの判断が不明確になる可能性がある」とし、「一般的にデータの透明性が低下すれば、市場参加者全体に影響が及ぶ」と述べた。
FRBが金利見通しの「ドットプロット」から逸脱することを正当化するのが一層困難になり、10月の利下げの可能性が高まるとの見方も出ている。野村証券の先進国市場担当チーフエコノミストであるデビッド・セイフ氏は「データが出なければ、基準線からどちらかに逸脱する根拠になる情報を事実上得られない」と指摘した。
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