
米中対立の激化やロシアの軍事行動によって地政学的緊張が高まるなか、ドナルド・トランプ米大統領は「米国の核能力をアップグレードする」と表明した。
トランプ大統領は9月30日(現地時間)、バージニア州クアンティコ海兵隊基地で開かれた全軍指揮官会議で演説し、米国の核戦力の重要性を強調した。「核兵器については、現在保有しているものの20分の1であっても、想像を絶するほどの甚大な被害をもたらすことができる」と述べた。その一方で、「『核』という言葉を軽々しく口にしてはならない」とも語り、慎重な姿勢を示した。
演説に先立ち、ピート・ヘグセス国防長官は米軍の任務は本来、戦闘力の強化にあると強調し、人種や性の平等など社会問題に傾倒してきた従来の政策を正面から批判した。ヘグセス長官は「愚かで無謀な政治指導者が誤った方向を示した結果、我々は道を見失った」と指摘し、「かつて我々は『ウォーク(Woke)部』と化していたが、もはやそうではない」と述べた。
「ウォーク」は本来、人種差別や性差別に対する社会的覚醒を意味する言葉だが、米国内の保守派の間では「行き過ぎた政治的正しさ」を象徴する否定的な用語として使われている。
さらにヘグセス長官は、「アイデンティティ月間、DEI(多様性・公平性・包摂性)局、ドレスを着た男たち、そして気候変動への『信仰』はもう終わりだ」と発言し、「我が軍の戦闘能力と致死性を損なうあらゆる要因を排除する」と強調した。
そのうえで「国防総省の時代は終わった。今この瞬間から、復活した『戦争省』の唯一の任務は、戦争の遂行、戦争への備え、そして勝利のための準備だけだ」と述べ、軍の方向転換を明確に打ち出した。
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