
ドナルド・トランプ米大統領は29日(現地時間)、イスラエルとパレスチナ武装組織ハマスの戦闘が続くガザ地区をめぐり、停戦と和平に向けた包括的計画を公表した。ハマスが同意すれば人質を即時解放し、イスラエル軍は段階的にガザから撤収する。さらに、復興を支援する「和平評議会」と暫定的な国際部隊の創設も盛り込まれた。
ホワイトハウスによると、発表はトランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の会談にあわせて行われたという。計画は20項目から成り立ち、当初21原則が検討されていたが最終的に20原則に整理されたという。トランプ大統領は国連総会に出席した23日にアラブ・イスラム諸国の首脳らに提案し、その後ネタニヤフ首相との協議を経て発表に至った。
トランプ大統領は「ガザを過激主義とテロのない地域にする。すでに大きな苦難を強いられてきた住民のために再建する」と強調した。さらに「双方がこの提案に合意すれば、戦争は即時に終結する」と強調した。
計画によれば、ハマスが人質を解放すればイスラエル軍は第一段階の撤収を開始し、国際安定化部隊(ISF)が展開すれば第二段階、最終的に国境付近まで第3段階で撤収、停戦期間中は空爆や砲撃を含む軍事行動は停止されるという。
ハマスが拘束している人質は、イスラエルが合意を受け入れてから72時間以内に、生死を問わず全員が返還される。代わりにイスラエルは終身刑受刑者250人と、昨年2023年10月7日のハマス攻撃以降に拘束された女性や子どもを含むガザ住民1,700人を釈放する。さらに、ハマスが返還するイスラエル人遺体1体につき、イスラエルはガザ住民の遺体15体を返還する。
また、武装解除を約束したハマス構成員については以後責任を問わない内容も含まれている。

トランプ大統領は、ガザ地区がガザ住民のために再建されること、そして1月19日に締結された人道支援合意に基づき、上下水道や電力網、病院や製パン所の再建、道路開通に必要な設備搬入などが行われると説明した。
暫定的な統治は「パレスチナ委員会」が担い、パレスチナ人と国際専門家が参加。委員会はトランプ大統領を議長とする「和平評議会」の監督下に置かれ、トニー・ブレア元英首相ら国際的要人も参加する。パレスチナ自治政府(PA)が改革を完了しガザを管理できるようになるまで、資金管理と復興の枠組みを担う。
さらに、この計画に参加する国々には、優遇関税など「特別経済区」を設立する内容も盛り込まれた。また、住民の強制移住は行わず、自由な移動と帰還を認めるとしている。
米国はアラブ諸国や国際的なパートナーと協力し、臨時国際安定化部隊(ISF)を新設する。この部隊はガザ地区内でパレスチナ警察を訓練し、ガザ地区の国境警備維も支援する。
また、イスラエルはガザ地区を占領・併合せず、現時点で支配下に置いているガザの領域をISFに段階的に移管するとした。ただし、テロ再発の脅威が完全に払拭されるまでは、治安境界線での駐留は例外として認められる。
平和構想にはさらに、「平和的共存を約束し、武装解除に応じたハマス構成員には恩赦を与える」と記されている。加えて、ガザを離れたいハマス構成員には、受け入れ国への安全な通行を保障する方針も盛り込まれた。
トランプ大統領は記者会見で、イスラエルが今回の計画に同意したことに謝意を示し、ハマスが同意すれば現実のものとなると強調した。
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