
米国のピート・ヘグセス国防長官は、米軍が人種や性の平等といった社会問題ではなく、戦闘能力の強化にのみ集中することを強調した。ヘグセス長官は、9月30日バージニア州クワンティコ海兵隊基地で召集された全軍指揮官会議において、「愚かで無謀な政治指導者たちが方向を誤り、我々は道を見失った」と述べ、「我々は『ウォーク(woke)』になってしまったが、もうそうではない」と語った。
ウォークは元々、人種・性差別や社会正義に対する覚醒を意味していたが、その後、米国社会における過度な政治的正しさへの反発により、保守派はウォークという呼称を、進歩的価値観やアイデンティティ強要の批判的意味で用すようになった。ヘグセス長官は「我々は、あまりにも多くの軍の指導者を不適切な理由で昇進させてきた。彼らは、人種や性別という偏った理由、いわゆる歴史上の『初』というために昇進させられている」と主張した。
彼は「政治的に正しく、必要以上に慎重で、誰にも心の傷を与えないリーダーシップの時代は終わった。各階級で基準を満たし、職務を遂行できなければならない。規律を守り、健康で訓練されていなければ、君は排除される」と警告した。

へグセス長官はこの日に、全ての兵科の基準を「最高の男性基準」に戻し、基礎軍事訓練を強化するよう指示すると明言した。また、全階級の兵士に対し、年2回のPT(身体訓練)試験の合格、身長と体重の基準達成、そして毎日のPT実施を命じた。髭や長髪など、軍人にふさわしくない容姿も認めないと述べた。
彼は「率直に言って、戦闘隊形であれ何であれ、太った軍人を見るのはもう限界だ。ペンタゴンの廊下で肥満体型の将軍や提督を目にするのは絶対に許さない」と明確に述べた。さらに「簡単に言えば、戦闘兵科の男性としての身体基準を満たせず、PT試験に合格できないか、髪を短く刈って専門的な外見に整えたくないのであれば、新たな職場や職業を探すべきだ」と語った。
また、へグセス長官はこれらの措置が女性の軍務を妨げるものではないとし、「戦争は君が男であろうと女であろうと関係ない」と強調した。さらに、「国防総省の時代は終わった」と述べ、「この瞬間から、新たに復活した戦争省の唯一の任務は、戦争の遂行、戦争の準備、そして勝利のための備えだけだ」と強調した。
へグセス長官は、平和主義は人間の本性と歴史を無視するため「単純で危険だ」とし、「我々は防御ではなく戦争の準備をしなければならない。我々は守護者ではなく戦士を訓練している。我々は防御ではなく、勝利のために戦う」と述べた。続けて「政治的に正しくかつ高圧的な交戦規則はもはや通用しない。必要なのはただの常識と、戦士たちに対する最大限の致死性と権限だけだ」と説明した。
以前、米国のドナルド・トランプ大統領は、国防総省という名称がウォークの産物であるとし、国防総省の代わりに戦争省という呼称を用いるよう指示していた。

この日は、米国および世界各国で勤務中の約800人の将官のうち、指揮官が異例の形で召集された。ヘグセス長官に続き、トランプ大統領も指揮官たちの前で演説した。ヘグセス長官は召集の理由を事前に説明しなかったため、軍内では、将官削減を目標として彼がこの日に大規模な解任を発表する可能性があるとの見方もあり、今後指揮部の刷新が行われることを示唆している。
これについてヘグセス長官は「今後、リーダーシップにさらなる変革があると確信している」と述べ、「もし私の今日の発言が君の心を重くするのであれば、君は名誉ある決断をして辞任すべきだ」とも語った。
ヘグセス長官は来月、軍の革新および調達能力改革について演説し、その後、米国が西半球で直面している脅威と中国の抑止について語る予定だと予告した。彼は「米国がすべてを行えるわけではない。自由世界には、真のハードパワーと軍事的リーダーシップ、そして軍事能力を有する同盟国が必要だ」と述べた。
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