
世界各国の中央銀行の外貨準備高を占めるドルの比率が、1995年以来の最低水準にまで落ち込んだ。ただし、これは中央銀行がドル保有を減らしたのではなく、ドル価値の急落が原因と分析されている。国際通貨基金(IMF)は、1日(現地時間)に公開した報告書で、各国中央銀行の外貨準備高を占めるドルの比率が、今年3月末の57.79%から6月末には56.32%へと1.47%ポイント低下したと発表した。これは30年ぶりの最低値である。
しかし、IMFは固定為替レートを基準にすると、ドルの比率は6月末時点で57.67%に算出され、第2四半期にほとんど変動がなかったと付け加えている。IMFは、今年第2四半期のドル比率減少分の92%が為替変動によるものであり、世界第2位の準備通貨であるユーロを含む他の通貨でも同様の為替効果が見られると説明した。中央銀行は、保有外貨をドル基準でIMFに報告しているため、為替変動が外貨準備高の価値に影響を与える。保有外貨を変更しなくても、対ドル為替レートにより通貨別の比率は増減する仕組みである。
一般的に四半期ごとの変動幅は比較的小さいが、今年第2四半期にドルは歴史的な水準の下落を記録し、対ユーロで9%、対スイス・フランで11%、対ポンドで6%とそれぞれ急落した。上半期全体では、ユーロなど主要6通貨に対するドルの価値を示すドルインデックス(DXY)が10%以上下落し、1973年以降最大の下落幅を記録した。各国中央銀行の外貨準備高において、ドルに次いで比率が高いユーロの比率は、3月末の20.00%から6月末には21.13%へと1.13%ポイント上昇した。これは2021年以降の最高値である。
しかし、為替変動による上昇分は1.17%ポイントであり、これは第2四半期にユーロの総保有量が減少したことを意味する。英ポンドも同様の傾向を示した。今年第2四半期にドルが急落した背景には、米国のドナルド・トランプ大統領による相互関税賦課の予告で米経済のスタグフレーション(景気後退下の高インフレ)懸念が高まったこと、トランプ大統領が中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)に対して度重なる利下げ要求を行ったこと、さらに7月初めに成立した「大きくて美しい1つの法律(OBBBA)」が米政府の財政赤字を拡大するとの懸念などが挙げられる。
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