
凍結されたロシア資産を活用し、ウクライナに1,400億ユーロ(約24兆1,859億円)規模の無利子貸付を提供する案がEU内で議論される中、ロシア側も対抗措置として、国内にある西側資産を押収し、迅速に民間へ売却する手続きを整えた。
1日(現地時間)、ブルームバーグによると、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は9月30日、国有財産を迅速に民間に売却できる特別手続きを規定した大統領令に署名したという。この大統領令には、民間売却対象資産の評価期間を10日以下に短縮し、所有権の国家登録手続きを迅速化する内容が含まれている。国営銀行の「プロムスヴャジバンク(Promsvyazbank)」が、この取引の主幹事に指定された。
この大統領令の目的は、ロシア及び外国の様々な企業の売却を加速させることにあり、ブルームバーグによれば「欧州連合(EU)がロシア資産の押収を開始すれば、ロシアも同様の措置で対応する」というのがロシア側の立場であるという。イタリアの「ウニクレディト」やオーストリアの「ライファイゼン・バンク・インターナショナル」などの欧州金融機関、さらに「ペプシコ」や「モンデリーズ・インターナショナル」といった米国食品企業を含む、様々な分野の西側企業数百社が依然としてロシアで営業を続けている。
クレムリン(ロシア大統領府)はブルームバーグの質問に回答しなかったが、ドミトリー・ペスコフ報道官は、EUで議論されている計画について「ロシア資産の不法な押収であり、泥棒行為だ」と非難した。
1日(現地時間)、デンマーク・コペンハーゲンで開かれた非公式首脳会議に集まったEU加盟国の首脳たちは、制裁で凍結されたロシア中央銀行の資産をウクライナ支援金として活用するという欧州委員会の提案を議論した。彼らは、同市で開催される欧州政治共同体(EPC)首脳会議において、2日にもこの提案を議論する予定である。欧州委員会は、ベルギーの証券集中保管機関(CSD)である「ユーロクリア」に、凍結されたロシア資産のうち、満期を迎えて現金化された1,400億ユーロをウクライナに無利子貸付金として提供する「賠償金貸付」を提案している。
ロシア側はこれを、EUによるロシア資産の押収と見なしているが、EU側は、この案が凍結資産の完全な押収ではなく、ロシアがウクライナに戦争賠償を行えば凍結資産を取り戻せると説明している。ニューヨーク・タイムズ(NYT)が伝えた昨年のアントン・シルアノフ露財務相の発言によれば、西側が凍結しているロシア資産と同額の西側資産が、ロシアによって凍結されているという。
ロシアは、このような対称的な対応を今後も続けると公言している。また、ロシアは凍結した西側資産から得られる利益を、政府が凍結した特別銀行口座に入金している。EU関係者は、米国のドナルド・トランプ大統領がウクライナへの米国の援助を削減したことを受け、凍結したロシア資産を完全に押収するのではなく、ウクライナ支援に活用する案を強く推進してきた。ウクライナへの無利子貸付は、ロシアが戦争被害に対してウクライナに賠償金を支払う場合にのみ返済される。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は1日、「軍事支援のためには、より構造的な解決策が必要だ」と、このような支援を推進する理由を説明した。
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