
元老俳優ジェーン・フォンダ(87)を筆頭に、ハリウッドのスターたちが表現の自由を守るための新団体を設立した。ハリウッドの著名人がこの理念を掲げて団体を立ち上げるのは、1940年代のマッカーシズムへの反発以来、実に80年ぶりとされる。
米CNNや業界紙「バラエティ」によると、フォンダは10月1日(現地時間)に「修正憲法第1条委員会」(Committee for the First Amendment)を発足させた。同委員会は声明で「表現の自由に対する攻撃に立ち向かう」と宣言し、報道の自由を政府の検閲から守ることを目的に活動すると表明している。すでにハリウッドのエンターテインメント業界から550人以上の著名人が支持を寄せている。
委員会には、クインタ・ブランソン、ヴィオラ・デイヴィス、ケリー・ワシントン、ナタリー・ポートマン、アーロン・ソーキン、スパイク・リー、ペドロ・パスカル、ベン・スティラー、ウーピー・ゴールドバーグ、ショーン・ペン、ジョン・レジェンド、ジュリアン・ムーア、ジャネール・モネイ、バーブラ・ストライサンド、ジュリア・ルイス=ドレイファス、イーサン・ホーク、ビリー・アイリッシュ、アンジェリカ・ヒューストン、ジャド・アパトーなど、名だたる顔ぶれが揃っている。
フォンダは声明で「マッカーシー時代は、アメリカ人が政治的立場を超えて団結し、抑圧に抗して憲法の原則を守ることで終息を迎えた」と振り返り、「いま再び抑圧の力が頭をもたげている。憲法に定められた権利を守るため、私たちが立ち上がる時だ」と訴えた。さらに「報道の自由、表現の自由は背景や信条に関わらず、すべてのアメリカ人にとって譲れない権利だ。権力を批判し、疑問を投げかけ、抗議し、さらには嘲笑する――その力こそがアメリカが常に目指してきた姿の根幹だ」と強調した。
フォンダの父であり名優のヘンリー・フォンダも、1947年にハンフリー・ボガート、フランク・シナトラ、ジュディ・ガーランドらとともに「修正憲法第1条委員会」を初めて立ち上げ、表現の自由を守り政府の弾圧に対抗した。当時、ジョセフ・マッカーシー上院議員が率いた下院委員会が芸能人を「共産主義の同調者」として糾弾し、多くのキャリアを断絶させ、ハリウッド全体に暗い影を落とした。
今回の新委員会設立は、ディズニーがドナルド・トランプ政権の圧力を受け、ABCの「ジミー・キンメル・ライブ!」の放送を一時中止したことが契機とされる。トランプ大統領が任命した連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員長が、キンメルによる右翼論客チャーリー・カーク銃撃事件に関する発言を問題視し、提携ライセンスを取り消すと示唆した。これを受けディズニーは放送を無期限延期としたが、視聴者や芸能界の激しい反発を受け、番組は再開された。
ジェーン・フォンダは、ベトナム戦争反対運動や人種差別撤廃運動など、社会的課題に長年声を上げてきた人物として知られる。2020年の第92回アカデミー賞では、映画『パラサイト 半地下の家族』の作品賞プレゼンターを務めた。
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