ロシアの変電所攻撃でチェルノブイリ原発が停電

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍の攻撃によってチェルノブイリ原子力発電所が一時停電に陥ったと明らかにし、ロシアを強く非難した。
キーウ・インディペンデントなどによると、ウクライナのエネルギー省は1日(現地時間)、ロシアのドローンがスラブチチの変電所を攻撃し、スラブチチとチェルニヒウ州の一部で停電が発生したと発表した。その影響でチェルノブイリ原発内の複数の施設で緊急事態が起きたという。
ゼレンスキー大統領はその後、SNS「X」に「3時間以上の停電が発生し、1986年の爆発事故後に4号機の残骸を覆って環境を守る『新安全閉じ込め施設(New Safe Confinement)』や、使用済み核燃料貯蔵施設にも影響が及んだ」と投稿した。
さらに「ここにはチェルノブイリ原発稼働時に発生した使用済み核燃料の80%と3,250トン以上の燃料集合体が存在する。ロシアがスラブチチの変電所を攻撃すれば、チェルノブイリでこうした結果が生じることを知らなかったはずはない」と指摘した。攻撃には20機以上のイラン製無人機「シャヘド」が投入されたという。
ゼレンスキー大統領はまた「ロシアは戦争を引き延ばし、完全かつ信頼できる停戦を拒否し、原発の安全に直結するエネルギー施設を繰り返し攻撃している。こうした行為は毎日が世界全体への脅威となっている」と強調した。そのうえで「チェルノブイリやザポリージャを含め、ウクライナには5つの原発があり、そのすべてがロシアの標的となり得る」と訴えた。
ゼレンスキー大統領は前日にも、ザポリージャ原発への電力供給がロシア軍の攻撃で途絶したとし、「ロシアは発電所へつながる送電線の復旧を砲撃で妨害している。いかなるテロ組織も原発に対してこのような行為をしたことはない」と非難していた。ザポリージャ原発は先月23日以降、外部からの送電が途絶え、非常用発電機によって稼働を続けている。
チェルノブイリ原発はウクライナ北部のベラルーシ国境付近に位置し、1986年に爆発事故を起こした。事故後も4号機を除く原子炉は運転を続けていたが、2000年に完全に停止された。その後、爆発のあった4号機はコンクリートと鋼鉄製のドームで覆われ、放射能漏れを防ぐため人員が常駐している。
コメント0