
米国政府は1日(現地時間)、イランの核開発や武器・部品調達に関与したとして、計44の個人・団体を新たに制裁対象に指定した。国際社会による対イラン制裁の復元に伴う後続措置であり、核開発放棄を拒むイランに対し資金源を一段と締め付ける狙いがある。
米財務省は21の団体と17人の個人を、また国務省は1団体と5人を制裁対象に指定した。対象者らは弾道ミサイル、ヘリコプター、レーダー部品の不正輸入や核兵器研究・開発に関与した疑いがある。国務省の指定対象には、イランで核兵器研究を主導するとされる防衛革新研究機構(SPND)のレザ・モザファリニア所長らが含まれている。SPNDは、2020年に米軍により暗殺されたイランの核科学者モフセン・ファクリザデが設立した組織で、イスラエルはこれをイランの秘密核兵器計画「アマド・プロジェクト」の延長線上にあるとして、今年6月に同施設を空爆した。
財務省の制裁対象には、米国製ヘリコプターを密輸したり、弾道ミサイルやレーダー製造に必要な米国製部品を調達したとされるイラン国防省傘下の軍需企業や、その幹部らが含まれている。さらに、米国製部品を秘密裏にイランへ流したとして、連邦捜査局(FBI)に指名手配されている中国籍のエミリー・リウを含む国際的な武器・部品密輸ネットワークも名を連ねた。制裁対象となった個人・団体は米国内の資産が凍結されるほか、取引する外国金融機関にも二次的制裁が科され、事実上の経済的孤立措置が取られる。
スコット・ベッセント財務長官は同日、「イラン政権がテロ代理勢力を支援し、核兵器を追求することは、中東、米国、そして世界の同盟国の安全保障を脅かしている」とし、「有害な目的に利用される恐れのある武器供給を断つ」と強調した。
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