
ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領は、米国がウクライナに長距離巡航ミサイル「トマホーク」を供与した場合、緊張状態が新たな次元に悪化すると警告した。
10月2日(現地時間)、ロシアの国営通信社「タス通信」は、プーチン大統領はロシア南部ソチで開かれた、国際有識者会議『バルダイ・クラブ討論会』で「これはトンネルの先に差した光のような我々の関係を打ち砕くのか?もちろんそうだ。そうならない道理があるだろうか?」と述べた。この発言は、米国がウクライナの要請を受け、トマホーク供与を検討しているとの報道に対する反応である。もしウクライナがトマホークを供与されれば、ロシアの首都モスクワも射程圏内に入ることになる。
プーチン大統領は、ウクライナが米軍の介入なしにトマホークを使用することは不可能だと指摘し、「露米関係を含む、まったく新しく質的に異なる水準での悪化」が生じると述べた。ただしトマホークについては「完全に最新の兵器ではないが、依然として強力な武器だ」としつつ、現在ロシアが優位にある戦況を覆すことはできないとの見方を示した。また、米国の「MGM-140 ATACMS」ミサイルもロシアに被害を与えたが、最終的にはロシアの防空網によって撃墜されていると強調した。
さらにプーチン大統領は、先月、自動的に1年延長する形で新START(新戦略兵器削減条約)を米国に提案した件について「この対話は容易ではない。我々はそのリスクを理解している」と語った。その上で、新たな軍縮対話においては、ロシアが新型ミサイル「オレシュニク」を保有していることを考慮すべきだと主張。「米国内では延長は不要だとする声もあるが、その場合、我々にとっても不要だ」とし、核防衛に自信を示した。
また、新たな核軍縮協議に中国を含めるべきだとの意見に対しては、NATO加盟国である英国とフランスの核戦力も考慮する必要があると指摘。さらに核実験を準備している国があることを把握しているとした上で、「そのような事態が起きれば、我々も同様に行動する」と警告した。
一方、プーチン大統領はドナルド・トランプ米大統領について「人々を驚かせるのを好むが、基本的には人の話を聞く人物だ」と評し、今年8月のアラスカ首脳会談でも自身の発言に耳を傾け、妨害しなかったと述べた。
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