
ドナルド・トランプ政権は、高齢者の障害年金受給基準を大幅に強化する方針を検討していると、ワシントン・ポスト紙(WP)が10月5日に報じた。これは、貧困層や高齢者、障害者を対象とする社会保障制度の抜本的見直しの一環で、障害年金の受給可否を判断する際に「年齢」を考慮する要素を完全に排除する案まで浮上しているという。
WPによれば、関係筋の話として、政権内では障害年金の審査における「年齢要素」を廃止するか、もしくは現在の基準年齢(50歳)を60歳に引き上げる案が議論されていると伝えた。
社会保障局(SSA)はこれまで、障害年金の審査で年齢・職歴・学歴などを総合的に考慮し、他の職種への転職可能性(適応力)を判断してきた。一般的に50歳以上の申請者は、年齢による就労制約が大きいため受給認定を受けやすかったが、もし基準年齢の引き上げや年齢要素の撤廃が実施されれば、受給対象者は大幅に減少するとみられる。
さらにWPは、障害年金申請者の「就労能力」を評価する際に用いる労働市場データを刷新する計画も進められていると報じた。
アーバン・インスティテュートの上級政策フェローで、5つの政権で行政管理予算局(OMB)の官僚を務めたジャック・スモーリガンは、最近の論文で、提案された規定が障害年金プログラムの資格要件を10%厳格化すれば、今後10年間で最大75万人が全期間または一部の期間、年金を受給できなくなると指摘した。さらに、配偶者や親の資格喪失により8万人の未亡人や子供たちが給付を受けられなくなり、この結果、10年間の年金総支給額が820億ドル(約12兆953億2,390万円)削減されると試算している。
つまり、今回の動きによって、「高齢者・障害者・低所得者」への給付がさらに抑制される方向へ進む可能性が高いことが指摘されている。
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