
トランプ米大統領がバイオ医薬品に対して100%の関税を課すと予告した10月1日(現地時間)を過ぎても何の動きも見られないことから、その背景に注目が集まっている。
バイオ業界によると、トランプ大統領は9月25日、SNS「トゥルースソーシャル」で「米国内に医薬品工場を建設しない場合、10月1日以降、すべての薬品および特許薬に100%の関税を課す」と発言していた。しかし、実際には10月1日に関税措置は実施されなかった。
この件について、政治メディアのポリティコは関税措置の延期の可能性を報じている。ホワイトハウス関係者によれば、トランプ政権は製薬大手との交渉を進めるため、関税引き上げを一時保留にしたという。
トランプ大統領は、通商拡大法232条に基づき、2025年4月1日から医薬品輸入が国家安全保障に及ぼす影響の調査を開始して以来、度々医薬品関税に関する方針を表明してきた。2025年7月8日には「米国の輸入医薬品に最大200%の関税を課す」と言及し、8月5日の米CNBCインタビューでは「当初は低率の関税を課すが、1年から1年半で150%、その後250%まで引き上げる」と述べていた。
トランプ大統領が予告した10月1日の医薬品関税措置が実施されなかった理由として、ファイザーとの契約が影響していると指摘されている。ファイザーは、米国内での医薬品製造能力強化のために700億ドル(約10兆3,252億7,650万円)を投資し、トランプ政権の医薬品直接購入プラットフォーム(TrumpRx.gov)に参加して低価格で医薬品を提供することで合意した。その見返りとして、ファイザーは3年間医薬品関税の対象から除外されることとなった。このため、トランプ大統領はファイザーとの契約に加え、他の大手製薬会社との交渉に注力する必要があり、関税計画は一時中断されたと見られている。
コメント0